
この記事のポイント
- UPF(紫外線防御指数)はSPFと異なりUVA・UVBの両方を考慮した生地の指標で、UPF50+は紫外線を50分の1以下に抑える性能を示す。
- ラッシュガードは「着ているから安心」ではなく、露出部位(首・手の甲・顔)への日焼け止め塗布と組み合わせることで初めて効果を最大化できる。
- 密着性・素材・縫い目の処理まで確認することで、水中や動作中にずれにくく紫外線の「すき間」を減らせる。
「UPF50+のラッシュガードを着ていれば、日焼け止めは省略できる」と思っていませんか? じつはウェアが覆う範囲はあくまで生地の下だけで、首・顔・手など露出部位には別途の対策が必要です。この記事では、UPFの正確な意味から素材・フィット感の選び方、日焼け止めとの組み合わせ方まで、根拠をもとに整理します。
UPFとは何か? SPFと何が違う?
UPF(Ultraviolet Protection Factor) は、布地・ファブリックの紫外線防御性能を示す指数です。SPFが評価するのは日焼け止め製品で、主にUVBへの防御力を示します。一方UPFは、UVA・UVBの両方を含む紫外線全体を、生地がどれだけ遮るかを示す指標です。
UPFの読み方
- UPF50+: 生地を通過する紫外線量を50分の1以下に抑える(透過率〈とうかりつ〉≦2%)
- UPF30: 透過率≦約3.3%
- UPF15: 透過率≦約6.7%(最低限の「UV protection」表示ライン)
| 指数 | 遮断率(目安) | 透過率(目安) | 評価区分 |
|---|---|---|---|
| UPF15〜24 | 93〜96% | 4〜7% | Good |
| UPF25〜39 | 96〜97.5% | 2.6〜4% | Very Good |
| UPF40〜50+ | 97.5〜98%以上 | ≦2.5% | Excellent |
紫外線の強い屋外水辺での使用を前提にするなら、UPF40以上(できればUPF50+) を選ぶのが一般的な目安とされています。
ラッシュガードのUPFを左右する4つの要素
UPF値は「生地に書かれた数字」ではなく、複数の要因が絡み合って決まります。購入前に確認すべきポイントを整理します。
1. 素材の種類
| 素材 | UV遮断の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| ナイロン・ポリエステル | 高い | 乾きが速く、UPF50+製品が多い |
| リサイクルポリエステル | 高い | 環境負荷が低いものも増加中 |
| ライクラ/スパンデックス混紡 | 中〜高い | 伸縮性が高いが、引き伸ばすと低下する場合あり |
| コットン(濡れた状態) | 低下しやすい | 乾燥時は一定の遮断力があるが、濡れると透過率が上がる傾向 |
ポイント: 海・プールでの使用では、濡れた状態でもUPF値が維持されるかを確認しましょう。多くのUPF認証製品は「濡れ状態での試験値」を含めて評価しています。
2. 生地の密度と厚さ
同じ素材でも、編みの密度が高いほどUPFは高くなる傾向があります。薄手で透け感のあるもの、ルーズニットのものはUPFが低くなりやすいため注意が必要です。
3. 色の濃さ
一般的に、濃色(ネイビー・ブラック等)は淡色より紫外線をより多く吸収・遮断するとされています。ただし認証済み製品であれば、ホワイト・ライトカラーでもUPF50+を達成しているものは多く存在します。色だけで判断せず、UPF表示を確認することが重要です。
4. 引き伸ばし(ストレッチ)
生地を引っ張ると繊維の間隔が広がり、UPFが低下する場合があります。体に密着したフィットのものは、動作中に引き伸ばされやすい点に注意が必要です。「ストレッチ時のUPF値も試験済み」と明記された製品を選ぶと安心です。
どう選ぶ? ラッシュガード・UVカット水着の選び方
フィット感と「すき間」を確認する
UVカットウェアの盲点は生地と肌の「すき間」です。生地が浮いた状態では、散乱した紫外線が入り込みます。
- 腕を上げたとき・しゃがんだときに裾や袖が引き上がらないか
- 首元に隙間が生じないか
- 長袖であれば手首まで届くか
試着できない場合は、ジャストサイズか、やや小さめを選ぶと密着性が保たれます。
丈・カバレッジの範囲を確認する
ここでのカバレッジとは、ウェアの生地が肌を覆う範囲のことです。
| ウェアのタイプ | カバー範囲 | 向くシーン |
|---|---|---|
| 長袖ラッシュガード(フルジップ) | 体幹・腕全体 | サーフィン・マリンスポーツ・長時間の外遊び |
| 半袖ラッシュガード | 体幹・上腕まで | プール・デイリーレジャー |
| UPFレギンス・ボトム | 脚全体 | 長時間の浅瀬・スノーケル |
| UPFワンピース水着 | 体幹(腕・脚は露出) | プール・水辺のレジャー全般 |
長時間・強い日差しの環境ほど、カバレッジが広いタイプを選ぶことが合理的です。
縫い目・ジッパー・フードの仕上げ
- 縫い目が外向きに出ているタイプは着用時の摩擦が少なく肌に優しい(フラットシーム)
- フード付きは首・後頭部の露出を減らせる
- ジッパーは金属製より樹脂製のほうが海水による劣化が少ない傾向
「ラッシュガードだけで大丈夫?」日焼け止めとの組み合わせ方
カバーできない部位がある
ラッシュガードがどれだけ高性能でも、生地で覆われていない部位は無防備です。そのため、露出しやすい部位と対策は次のとおりです。
| 露出部位 | 対策 |
|---|---|
| 顔・耳・首 | SPF30以上・PA+++以上の日焼け止めを丁寧に塗布 |
| 手の甲・指 | 日焼け止めをムラなく塗布。水に触れるたびに塗り直しを |
| 足の甲・すね | UPFレギンスまたは日焼け止めで対応 |
| 肩の付け根(袖のすき間) | 日焼け止めで補完 |
塗り直しのタイミング
水に入ると日焼け止めは落ちやすくなります。ウォータープルーフ処方のものでも、2〜3時間ごとの塗り直しを習慣にすることが推奨されています。
ウェアの下にも日焼け止めを塗るべき?
ウェアの下への塗布は必須ではありません。一般的に、UPF50+の生地であれば、生地の下への紫外線透過は非常に少ないためです。ただし生地がずれやすい部位(脇腹・腰まわりなど)や薄い素材の場合は、下塗りしておくと安心です。「念のため」として塗ること自体は問題ありません。
ウェアのケアと「UPFの劣化」について
UPF性能は洗濯・使用を重ねると徐々に低下することがあります。
- 塩素(プール)と塩水(海)の影響: 繊維を劣化させ、長期的にUPFが低下する可能性あり
- 洗濯時の注意: 生地に合った洗剤・温度を守る。乾燥機の高熱は繊維を傷める場合がある
- 伸びた生地は要注意: 何度も着用して伸びが目立ってきたら、UPF性能も低下している可能性がある
目安として、毎シーズン(年1〜2回の更新)を検討するのが現実的です。明らかに生地が薄くなったり伸びたりしていれば、買い替えのサインです。
子ども・敏感肌の方へ
子どもの肌は大人より紫外線の影響を受けやすいとされており、UPFウェアの活用は積極的に推奨されます。
- 子ども向けにはUPF50+・長袖・フード付きが理想的な組み合わせ
- 顔・首は必ず日焼け止めで補完する
- 敏感肌の方は肌触りの良い素材(縫い目が当たらないフラットシーム加工)を優先する
- 日焼け止めは敏感肌向け・低刺激処方のものを選び、パッチテスト(肌に合うか事前に少量つけて試す確認)を行ってから使用する
研究・参考情報
- UPF規格について: UPFの試験方法と表示基準は、オーストラリア・ニュージーランド規格(AS/NZS 4399)や米国のASTM D6544規格などが広く参照されています。「UPF50+」はこれらの規格における最高評価区分であり、透過率2%以下を意味します。
- 濡れた生地のUPF: 一般に生地が濡れると紫外線透過率が上がる素材もありますが、ポリエステル・ナイロンなどの高密度な合成繊維は天然繊維に比べて変化が小さい傾向があるとされています。ただし濡れることで一定程度UPFが低下する場合もあるため、製品ごとの試験条件を確認することが重要です。
- 生地の色とUV遮断: 繊維科学の分野では、色素(染料)が紫外線を吸収する仕組みにより、濃色生地は淡色より遮断力が高い傾向が報告されています。ただし認証製品においては、ホワイト生地でも化学的UV吸収加工を施してUPF50+を達成するケースが多く見られます。
- 光老化(こうろうか/photoaging)の蓄積: 紫外線によるダメージは一回一回は小さくても蓄積していくとされています。夏の海・プールのような強UV環境での長時間露出は、年単位でみると積み上がるため、物理的なウェアによるカバーは合理的な手段の一つです。
まとめ
- UPF50+ はUVA・UVB両方を透過率2%以下に抑える生地の指標。海・プールではUPF40以上を選ぶのが安心。
- 素材(ポリエステル・ナイロン)、生地密度、色、ストレッチ時の変化がUPFに影響する。濡れ状態でも性能が維持されるかを確認する。
- ラッシュガードはあくまで「覆った部分」を守るもの。顔・首・手足の露出部位には日焼け止めを必ず組み合わせる。
- 日焼け止めは2〜3時間ごとに塗り直す。水に入った後はこまめに補塗りする。
- ウェアは使用・洗濯でUPFが経年低下する。伸びや薄さが気になったら買い替えを検討する。
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
UPF50+とUPF50はどう違いますか?
UPF50+は「50以上」を意味し、透過率が2%以下であることを示します。UPF50も同じ2%以下の範囲に入るため性能差はほぼありません。「+」は上限を超えた性能であることを示す表記です。
ラッシュガードの下に日焼け止めを塗る必要はありますか?
UPF50+の生地であれば、生地下への紫外線透過は非常に少ないため、必須ではありません。ただし生地がずれやすい部位や薄い素材の場合は、下塗りしておくとより安心です。
白いラッシュガードはUVカット効果が低いですか?
色だけで判断はできません。白色でもUV吸収加工を施してUPF50+を達成している製品は多くあります。購入時はカラーではなくUPF表示を必ず確認しましょう。
何年ごとにラッシュガードを買い替えるべきですか?
明確な基準はありませんが、生地の伸びや薄さが目立ってきたらUPFが低下しているサインです。毎シーズン(年1〜2回)の状態確認を目安に、劣化が感じられたら買い替えを検討してください。
子どもにはどんなラッシュガードが適していますか?
UPF50+・長袖・フード付きの組み合わせが最も露出部位を少なくできます。肌触りのよいフラットシーム加工のものを選ぶと、長時間着用でも不快感が少なくなります。顔・首への日焼け止め塗布も忘れずに。
参考文献
- AS/NZS 4399:2017「Sun protective clothing – Evaluation and classification」(オーストラリア・ニュージーランド規格)
- ASTM D6544「Standard Practice for Preparation of Textiles Prior to Ultraviolet (UV) Transmission Testing」(米国材料試験協会)
- The Skin Cancer Foundation「Sun Protective Clothing」https://www.skincancer.org/skin-cancer-prevention/sun-protection/sun-protective-clothing/
- Wang SQ et al.「Ultraviolet A and melanoma: A review」J Am Acad Dermatol, 2001;44(5):837-846
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。