この記事のポイント
- PA表示(+の4段階)は、UVAへの防御力を測るPPDという試験値をもとに決められています。
- PPDの数値レンジがPA+〜PA++++に対応し、日本では+4段階に丸めて表示されます。
- SPFはUVB(赤くなる日やけ)、PAはUVA(黒くなる日やけ)を対象にした別々の指標です。
「PA++++と書いてあれば、それがいちばん強い日やけ止め」——そう思って選んでいる方は、けっこう多いかもしれません。ですが、PAの「+」の数はUVAという紫外線への防御の目安を4段階で表したもので、その裏側にはPPDという測定値がひそんでいます。この記事では、PAとPPDがどうつながっているのか、SPFとは何がちがうのか、そして海外製品のPPD数値表記をどう読み替えればいいのかを、具体的な数値で整理していきます。
PPDとは?肌のどんな反応を測っている指標なの?
PPDは、UVAを浴びた肌が「持続的に黒くなる」反応を使って、UVAへの防御力を測る試験の指標です。
PPDはPersistent Pigment Darkening(持続型即時黒化)の略です。紫外線のうちUVAは、肌をすぐに黒くする「即時黒化」という反応を起こしやすい波長で、この黒くなった状態がしばらく残るところを利用して測定します。試験では、日やけ止めを塗った肌と塗らない肌の両方にUVAを当て、同じ程度の黒化が現れるまでにUVA量が何倍必要になったかを比べます。
たとえばPPDが8なら、日やけ止めを塗った肌は塗らない肌にくらべて、黒化が出るまでに約8倍のUVA量に耐えられた、という意味になります。数字が大きいほどUVAをよりさえぎった、と読めるわけです。ここで大事なのは、PPDが「肌の黒くなる反応」を基準にしているという点で、後で出てくるSPFとはそもそも見ている反応が違います。
もう少しかみ砕くと、UVAを浴びた直後に肌がうっすら黒くなる反応は「即時黒化」と呼ばれ、その色がすぐ消えず一定時間残ったものを判定に使うのがPPDです。判定は肉眼だけに頼らず、色の濃さを機械で読み取る方法も併用され、誰が見ても同じ結果になるよう工夫されています。数時間から半日ほど置いて色の残り具合を見るため、赤みを基準にするSPF試験とは判定のタイミングも異なります。
なぜ黒化を目印にするかというと、UVAは紅斑(赤み)を起こしにくく、赤みだけを見ていてはUVAの影響を捉えにくいからです。そこで、UVAで比較的はっきり出る「黒くなる反応」を物差しに選んでいます。ただし黒化の出やすさには肌質による個人差があり、複数の被験者で計測した平均をとる必要があります。このPPDを使うUVA試験の方法は、ISO 24442という国際規格として整えられていて、光源や塗布量、判定のタイミングまで手順が決められています。それでも測定条件でいくらかぶれるため、PPDは「おおよその倍率」として受け止めるのが現実的です。
なぜPPDの数値がPA+〜PA++++に変わるの?
PPDという「連続した数値」を、選びやすいように4段階の「+」記号へ置き換えたものがPA表示だからです。
日本では、日本化粧品工業会(旧・日本化粧品工業連合会)の自主基準によって、PPDの数値レンジごとにPA+〜PA++++が割り当てられています。PPD 2以上4未満がPA+、4以上8未満がPA++、8以上16未満がPA+++、そして16以上がPA++++です。PA++++は2013年から表示に加わった、いちばん上の区分にあたります。
| PA表示 | 対応するPPDの目安 | UVA防御の程度(自主基準の表現) |
|---|---|---|
| PA+ | 2以上4未満 | UVA防御効果がある |
| PA++ | 4以上8未満 | UVA防御効果がかなりある |
| PA+++ | 8以上16未満 | UVA防御効果が非常にある |
| PA++++ | 16以上 | UVA防御効果が極めて高い |
表にすると、「+」1つの差がPPDのレンジひとつ分の差であることが見えてきます。おもしろいのは、レンジの区切りが2→4→8→16と倍々になっている点です。+が1つ増えるごとに、目安となるPPDの下限がおよそ2倍に広がっていく設計になっています。つまりPA表示は、細かいPPDの数値をあえて丸めて4段階に整理した「読みやすい目盛り」であり、裏を返せば同じPA表示のなかにも数値の幅がある、ということでもあります。
SPFとPAは何がどう違うの?
SPFはUVBによる「赤くなる日やけ」を、PAはUVAによる「黒くなる日やけ」を対象にした、まったく別の指標です。
紫外線は波長でおおまかにUVBとUVAに分けられます。UVBは肌が赤くヒリヒリする紅斑(こうはん)を起こしやすく、SPFはこの紅斑が出るまでの時間を何倍に延ばせるかを表します。一方UVAは肌を黒くする反応や、地表に届く量が一年を通じて比較的多いことが知られていて、PAはこのUVA側の防御を表します。測る紫外線も、基準にする肌の反応も違うので、SPFとPAは片方だけ高ければよいというものではありません。
| 指標 | 主な対象 | 基準にする肌の反応 | 試験の指標/規格 |
|---|---|---|---|
| SPF | UVB | 紅斑(赤み) | 紅斑を基準・ISO 24444 |
| PA | UVA | 黒化(持続型即時黒化) | PPDを基準・ISO 24442 |
SPFは数値で、PAは「+」で表されるため一見バラバラに見えますが、どちらも試験で得た倍率をもとにしている点は共通しています。表記の形が違うのは、SPFが幅広い数値になりやすいのに対し、UVAの黒化を基準にするPPDは数値が上がりにくく、細かい数字で示すより段階でまとめたほうが伝わりやすいからだと考えられます。日常づかいでは、UVB・UVAの両方に配慮して、SPFとPAのバランスで選ぶ考え方が現実的です。そして数値が高くても、汗や摩擦で減っていくため、2〜3時間ごとの塗り直しを前提にするのがおすすめです。「塗り直し不要」「一日中安心」といった前提では考えないほうがよいでしょう。
海外のPPD表記は、日本のPA表示とどう読み替える?
海外製品ではPPDの数値そのものが書かれていることがあり、これを日本のPAレンジに当てはめると読み替えられます。
たとえばヨーロッパなどの日やけ止めには、パッケージや説明に「PPD 16」「PPD 20」といった数値が記されていることがあります。先ほどの表に当てはめれば、PPD 16以上はどれも日本のPA++++の範囲に入ります。ここに、名前だけでは気づきにくい大事なポイントがあります。PA++++は「PPD 16以上」をひとまとめにした上限の区分なので、PPD 16の製品もPPD 20相当の製品も、日本の表示では同じPA++++になり得るのです。
これは、PA表示が4段階で頭打ちになる目盛りだから起こることです。SPFにも「50+」という上限の丸め方がありますが、PPD由来のPAはその一段手前、+4つの時点で上限に達します。つまり「PA++++同士なら中身も同じ」とは限らず、より細かく比べたいときはPPDの数値表記が手がかりになる、という読み方ができます。海外製品でPPD値が書かれていたら、その数値を上の表でPAに翻訳すると、日本の製品とも比べやすくなります。
逆に、日本のPA表示しかない製品では、PA++++の内側にある数値の差までは表示から読み取れません。これは表示の欠点というより、「読みやすさ」と「細かさ」のトレードオフとして設計されている、と理解しておくと選ぶときに迷いにくくなります。数値が大きいほどUVAをさえぎった度合いは高い傾向がありますが、完全にさえぎるわけではない点は、PPDでもPAでも同じです。だからこそ、指標の数字は「量をどれだけ減らせるか」の目安として使い、こまめな塗り直しや日陰の活用と組み合わせて考えるのがよいでしょう。
研究・参考情報
PPDを終点(エンドポイント)として用いるUVA防御の測定法は、2000年前後の研究で方法の較正(キャリブレーション)が検討され、その後ISO 24442として国際的に整理されました。PPDは、UVAを浴びた肌に残る持続的な黒化を基準にする、という考え方が土台になっています。
日本のPA表示は、日本化粧品工業会の自主基準により、PPDの数値レンジを4段階の「+」に対応させるかたちで運用されています。PA++++(PPD 16以上)は2013年に追加された区分で、それ以前はPA+++が最上位でした。SPF(UVB・紅斑基準、ISO 24444)とPA(UVA・PPD基準、ISO 24442)は別々の国際規格に沿って測定される、という点も押さえておくと、指標の違いが理解しやすくなります。
まとめ
- PPDは、UVAを浴びた肌の持続的な黒化を基準に、UVA防御力を「倍率」で表す試験の指標です。
- 日本のPA表示は、そのPPDの数値レンジを4段階の「+」に丸めた目盛りです(PA+=PPD2〜4、PA++=4〜8、PA+++=8〜16、PA++++=16以上)。
- SPFはUVB(赤み)、PAはUVA(黒化)が対象で、測る紫外線も肌の反応も異なります。
- PA++++はPPD 16以上をひとまとめにした上限区分なので、海外のPPD数値表記を使うとより細かく読み替えられます。
- 数値が高くても完全にはさえぎれないため、2〜3時間ごとの塗り直しを前提に選ぶのが現実的です。
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
PPDとPAは、結局どちらを見て選べばいいですか?
日本で売られている製品なら、まずはPAの「+」の数を目安にすれば十分です。PA表示はPPDという測定値を4段階に整理したものなので、+が多いほどUVAへの防御の程度が高いと読めます。より細かく比べたいときや海外製品を選ぶときは、PPDの数値そのものが手がかりになります。
PPDの数値が大きいほど、日やけを完全に防げますか?
いいえ。PPDは「無防備の状態にくらべて何倍のUVA量に耐えられたか」を示す倍率で、数値が大きいほどUVAをさえぎった度合いは高い傾向がありますが、完全にさえぎるわけではありません。汗や摩擦で効果は減っていくため、2〜3時間ごとの塗り直しを前提に考えるのがおすすめです。
海外製品の「PPD 20」は、日本のPA表示だと何にあたりますか?
PPD 16以上はすべて日本のPA++++の範囲に入るため、PPD 20はPA++++に相当します。ただしPA++++はPPD 16以上をひとまとめにした上限の区分なので、PPD 16の製品とPPD 20の製品が日本の表示では同じPA++++になり得る点に注意すると、比べやすくなります。
SPFが高ければ、UVA(PA)も自動的に高いのですか?
必ずしもそうではありません。SPFはUVBによる赤み(紅斑)、PAはUVAによる黒化を基準にした別々の指標で、測る紫外線も肌の反応も違います。SPFが高くてもPAが低いことはあり得るので、UVB・UVAの両方に配慮したいときはSPFとPAのバランスで確認するのが現実的です。
PA++++はいつからある表示ですか?
PA++++は2013年から表示に加わった、いちばん上の区分です。それ以前はPA+++が最上位でした。日本化粧品工業会の自主基準で、PPDが16以上のものにPA++++が割り当てられています。
参考文献
- Moyal D, Chardon A, Kollias N. "Determination of UVA protection factors using the persistent pigment darkening (PPD) as the end point. (Part 1). Calibration of the method." Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine. 2000;16(6):245-249. PMID: 11132126 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11132126/
- 日本化粧品工業連合会. 「紫外線防止効果測定法基準の改定とそれに伴う『PA++++』表示の追加」(報道発表資料). 2012. — https://www.jcia.org/user/common/download/approach/news_release/JCIA_release20121114-UV-PF.pdf
- 日本化粧品工業会. 「気になる紫外線用語CHECK!」(SPF・PA・PPDの解説). — https://www.jcia.org/user/public/uv/glossary
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。