「スーパーウォータープルーフ」と大きく書かれていると、いちばん水に強いタイプなのだろうと感じますよね。ただ、この言葉には法令上の定義がなく、業界の表示基準にも登場しない、各社が使っている通称です。試験の裏づけがあるのはむしろ地味な「UV耐水性 ★/★★」という表示のほうです。この記事では、その読み方と場面ごとの選び方を整理します。
スーパーウォータープルーフとは、結局なにを指す言葉?
高い耐水性をうたうために、各社が使っている呼び名です。日本国内で耐水性の表示を取り決めているのは、日本化粧品工業会(JCIA)の基準です。そこに「スーパーウォータープルーフ」という区分はありません。つまり、パッケージのいちばん目立つ位置にあるこの言葉は、試験の合否を直接あらわす表示ではないのです。
とはいえ、でたらめというわけでもありません。多くの場合、耐水性の高いグレードの製品に使われています。その裏づけは、小さく刷られた★の表示という別の場所に書かれています。
公式な表示は、目立たないほうにある
「水や汗に強い」ことをどう名乗れるかは、JCIA が決めています。その基準名は「紫外線防止効果に対する耐水性試験および耐水性表示基準」です。この基準が認めている表示名は「UV耐水性 ★」と「UV耐水性 ★★」の2つだけ。パッケージの裏や側面に小さく刷られていることが多く、表面の華やかなコピーに比べると、ずいぶん控えめな見た目です。
強そうな言葉ほど、根拠は薄い
ここにこの話のおもしろい非対称があります。強そうに見える言葉ほど根拠が薄く、目立たない表示のほうに試験の裏づけがある、ということです。日焼け止めを選ぶときは、キャッチコピーではなく★の数を見る。それだけで、判断の確かさはずいぶん変わります。
耐水性に公的な基準はあるの?
共通の基準があります。しかも、思ったより新しい仕組みです。
2022年12月から運用が始まった
JCIA の耐水性表示基準は 2021年10月15日に制定され、2022年12月1日から運用が始まりました。ベースになっているのは国際規格の ISO 18861 です。日本だけの独自ルールではなく、世界共通のものさしに合わせてつくられています。それ以前は「水に強い」の言い方に共通の試験がありませんでしたが、いまは同じ試験をクリアした製品だけが★を表示できます。
2024年11月30日以降、★のない「ウォータープルーフ」は使えない
もうひとつ、あまり知られていない大きな変化があります。2024年11月30日以降、★/★★の表示がない「ウォータープルーフ」という表記そのものが認められなくなりました。言葉だけが先行して、試験の裏づけがないまま「水に強い」と伝わってしまう状態をなくすための整理です。
そのため、いま店頭に並ぶ新しい製品で「ウォータープルーフ」とだけ書かれたものは、基本的に見かけないはずです。手元の日焼け止めに★の表示が見当たらないなら、それ以前につくられたものかもしれません。
「UV耐水性 ★/★★」はどう読めばいい?
★の数は、水に浸かる試験にどれだけの時間耐えたかを表しています。多い・少ないではなく、時間の長さだと考えるとつかみやすくなります。
★は合計40分、★★は合計80分
20分の浸水を2セット、合計40分の試験に合格したものが「UV耐水性 ★」。20分の浸水を4セット、合計80分に合格したものが「UV耐水性 ★★」です。★★は★の倍の時間、水に浸かったあとでも紫外線防止効果が保たれていることを確かめた、という意味になります。
「スーパーウォータープルーフ=★★」と決めつけない
ここが、この記事でいちばん覚えて帰ってほしいところです。80分の試験に対応する公式な表示は、あくまで「UV耐水性 ★★」。「スーパーウォータープルーフ」は各社が使う通称なので、この2つを等号で結ぶことはできません。言葉づかいは各社の判断ですが、★の数は共通の試験の結果です。
| 表示・呼び名 | 位置づけ | 裏づけ |
|---|---|---|
| スーパーウォータープルーフ | 各社が使う通称 | 法令にもJCIA基準にも定義はない |
| ウォータープルーフ | 通称。2024年11月30日以降は★表示なしでは使えない | 単独では試験の結果を示さない |
| UV耐水性 ★ | JCIAの公式な表示 | 合計40分(20分×2セット)の浸水試験に合格 |
| UV耐水性 ★★ | JCIAの公式な表示 | 合計80分(20分×4セット)の浸水試験に合格 |
耐水性はどうやって測っているの?
感覚ではなく、試験室で数値として測っています。手順は国際規格で決められていて、2つの規格が役割を分け合っています。
2つの国際規格が役割を分けている
ISO 16217:2020は、水への浸け方の手順を定めた規格です。条件をそろえておかないと、同じ製品でも結果が変わってしまうためです。
一方の ISO 18861:2020は、浸水前後のSPFを比べる手順を定めた規格です。浸水前のSPF(static)と浸水後のSPF(wet)を比べ、どれだけ保たれたかを割合で出します。国内の★表示は、この考え方に沿っています。
試験の流れをイメージすると
まず ISO 24444 の手順で塗ったあと、肌の上でなじませて乾かします(dry-down)。そのうえで模擬遊泳装置を使って水に浸し、乾かしてから、もう一度SPFを測り直すという流れです。「なんとなく落ちにくい」ではなく、浸けたあとの数値で確かめている、というのがポイントです。
耐水性が高くても、塗り直しは必要?
必要です。塗り直しは前提だと考えてください。★の数は「塗り直しが要らない時間」を示すものではありません。
アメリカでは "waterproof" と書けない
日本の外に目を向けると、対比がはっきりします。米国 FDA は 21 CFR 201.327(g) で規定しています。"sunblock"・"sweatproof"・"waterproof" の表示は認められません。misbranded(不当表示) とされます。
認められているのは "Water Resistant (40 minutes)" という書き方です。もしくは "(80 minutes)" と書くことも認められています。この最終規則は 2011年6月に公布されました。「水を通さない」と読める言葉は、そもそも実態に合わないという整理です。
表示の義務文言が「塗り直し前提」を語っている
同じ規則は、耐水性をうたう日焼け止めに次の内容の表示を求めています。泳いだり汗をかいたりしたら40分/80分ごとに塗り直すこと、タオルで拭いたらすぐ塗り直すことです。そして少なくとも2時間ごとに塗り直すことも求められます。つまり、耐水性の表示は塗り直しを省くためのものではなく、塗り直しまでのあいだを支えるためのものだといえます。
「汗に強い」という意味ではない
もうひとつ、混同しやすい点があります。UV耐水性の試験は、外から付着する水に浸したあとの状態を見るものです。汗に強いことを直接意味する表示ではありません。汗をかく場面では、★の数に頼りきらず、拭いたら塗り直すという習慣のほうを軸にしてください。
どんな場面で、どれを選べばいい?
耐水性は高いほどよい、というものではありません。その日の過ごし方に合わせて選ぶと、使い心地と紫外線対策のバランスが取りやすくなります。
| 過ごし方 | 表示の目安 | 塗り直しの考え方 |
|---|---|---|
| 室内中心・短時間の外出 | 耐水性にはこだわらなくてよい | 使い心地を優先し、2〜3時間ごとを目安に |
| 通勤や買い物で汗ばむ日 | UV耐水性 ★ が使いやすい | 汗を拭いたタイミングで塗り直す |
| 屋外スポーツ・長時間の外出 | UV耐水性 ★★ | 少なくとも2時間ごと。汗をかいたら早めに |
| 海やプールで水に入る | UV耐水性 ★★ | 上がってタオルで拭いたら、すぐ塗り直す |
落とすときのことも、少しだけ考えておく
耐水性の高い日焼け止めは落としにくい、と一般に指摘されます。ただしこれを裏づける一次情報は多くなく、断定できるほど根拠がそろっているわけではありません。落とし方は製品によって変わるので、まずはその製品の使用方法の記載に従うのが確実です。
強くこすらず、洗浄料を肌になじませてやさしく洗う。この基本を守っておけば、大きく外すことはありません。
研究・参考情報
耐水性の表示が「試験に基づく」といえるのは、測り方が国際規格として文書化されているからです。ISO 16217:2020 が浸水の手順を、ISO 18861:2020 が保持率を求める計算を規定しています。日本の「UV耐水性 ★/★★」は、この枠組みに沿っています。
JCIA の基準は 2021年10月15日制定・2022年12月1日運用開始です。★表示のない「ウォータープルーフ」表記の禁止は 2024年11月30日以降です。この時点情報も、いま店頭で見る表示を読み解く手がかりになります。
米国側の視点
米国側の 21 CFR 201.327 は、同じ課題に別の角度から答えた例です。"waterproof" のような言い切りを認めず、時間で示させたうえで塗り直しの文言を義務づけている。表現を厳しくするほど、読む側は「どのくらい」「いつまで」を自分で判断できるようになる、という設計です。
まとめ
- 「スーパーウォータープルーフ」は各社が使う通称で、法令にもJCIAの表示基準にも定義はない
- 試験の裏づけを示す公式な表示は「UV耐水性 ★/★★」のほうで、★が合計40分、★★が合計80分の浸水試験に対応する
- 「スーパーウォータープルーフ=80分」と等号では結べない。確かめたいときは呼び名ではなく★の数を見る
- 2021年10月15日制定・2022年12月1日運用開始のJCIA基準に加え、2024年11月30日以降は★表示のない「ウォータープルーフ」表記が認められなくなった
- 耐水性はISO 16217:2020とISO 18861:2020に沿って測られ、浸水後にSPFを測り直して確かめられている
- 米国FDAは "waterproof" 表示を認めず、40分/80分ごと・タオル後・少なくとも2時間ごとの塗り直しを表示させている
- 耐水性の表示は「汗に強い」を意味せず、塗り直しを省くためのものでもない
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
スーパーウォータープルーフとウォータープルーフは何が違いますか?
どちらも各社が使う通称で、法令や日本化粧品工業会(JCIA)の表示基準に区分としての定義はありません。試験の裏づけを示すのは「UV耐水性★/★★」という公式な表示のほうです。一般には、より高い耐水性をうたう製品に「スーパー」がつけられます。買うときは呼び名ではなく★の数を確かめるのが確実です。
「スーパーウォータープルーフ=80分耐水」と考えてよいですか?
等号では結べません。合計80分(20分×4セット)の浸水試験に合格したことを示す公式な表示は「UV耐水性★★」です。「スーパーウォータープルーフ」はその製品に各社がつける通称なので、必ずしも★★と一対一で対応するとは限りません。
UV耐水性★★なら塗り直しは省けますか?
塗り直しは前提です。米国FDAは耐水性をうたう日焼け止めに、いくつかの表示を求めています。泳いだり汗をかいたりしたら40分/80分ごとに塗り直すこと、タオルで拭いたらすぐ塗り直すことです。
さらに、少なくとも2時間ごとに塗り直すことも表示が求められています。★の数は「塗り直しが要らない時間」ではなく、試験で耐えた時間の長さです。
耐水性が高い日焼け止めは汗にも強いのですか?
直接そうとは言えません。UV耐水性の試験は、外から付着する水に浸したあとの紫外線防止効果を見るもので、汗に対する強さを測る試験ではないからです。汗をかく場面では、耐水性の表示に頼りきらず、こまめな塗り直しを組み合わせてください。
参考文献
- 日本化粧品工業会(JCIA)「紫外線防止効果に対する耐水性試験および耐水性表示基準」|https://www.jcia.org/user/business/guideline/taisui
- ISO 16217:2020 Cosmetics — Sun protection test methods — Water immersion procedure for determining water resistance|https://www.iso.org/standard/61437.html
- ISO 18861:2020 Cosmetics — Sun protection test methods — Percentage of water resistance|https://www.iso.org/standard/63659.html
- 21 CFR 201.327 Over-the-counter sunscreen drug products(FDA)|https://www.law.cornell.edu/cfr/text/21/201.327
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。医学的な診断・治療を目的とするものでもありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。