
この記事のポイント
- PAはUVA(長波長の紫外線)に対する防御力を示す日本独自の指標で、+が多いほどPPD値(防御倍率)が高い。
- UVAは曇りの日や窓越しでも届き、すぐには赤みが出にくいため気づきにくいが、蓄積によってシワやたるみの一因になるとされている。
- PA値はSPFと組み合わせて確認し、生活シーンに合わせた選択と2〜3時間ごとの塗り直しが防御効果を保つ基本。
日焼け止めのパッケージには「SPF50+・PA++++」のような表示が並んでいます。SPFはなんとなく知っているけれど、PAの「+」は何を意味しているのか、じつはよくわからない、という方は少なくありません。つまり、PAはUVA(長波長紫外線)に対する防御力を示す指標です。UVAの特性を知り、PA値を正しく読めるようになると、日焼け止め選びがぐっと確かなものになります。
PAとは何か―UVA防御力を示す日本独自の指標
PA(Protection Grade of UVA) は、日焼け止め製品がUVAをどれだけ防げるかを、+の段階で表す指標です。1996年に日本化粧品工業連合会(粧工連)が導入し、現在は国内の多くの日焼け止めに表示されています。一方、海外製品ではUVA防御を円形マーク(UVAロゴ)やPPD値で表すこともありますが、PAは日本独自の格付け方式です。輸入品や海外旅行先で購入した日焼け止めにPA表示がないからといって、UVA防御がないわけではありません。ただし基準が異なるため、単純な比較には注意が必要です。
UVAとはどんな紫外線か
地上に届く紫外線は、波長の違いによって主にUVB(280〜315 nm)とUVA(315〜400 nm)の二種類に分けられます。nmはナノメートルのことで、1 nmは1メートルの10億分の1です。
| UVB | UVA | |
|---|---|---|
| 波長 | 280〜315 nm(短い) | 315〜400 nm(長い) |
| 到達深度 | 表皮(肌の表面層) | 真皮(肌の奥の層)まで届くとされる |
| 体感しやすさ | 浴びた直後に赤くなりやすい | すぐには赤みが出にくく気づきにくい |
| ガラス越し・曇天 | 届きにくい | 届く |
| 一年を通じた量 | 夏に集中 | 季節・天候を問わず比較的安定して降り注ぐ |
UVAの「気づきにくさ」が厄介な理由
UVBは浴びると比較的すぐに肌が赤くなる(サンバーン)ため、「焼けた」と実感しやすい。一方UVAは、波長が長い分だけ雲や窓ガラスを透過しやすく、一年中・室内でもじわじわと肌に届きます。
即座の赤みが出にくいので、「今日は大丈夫」と感じやすいものです。しかし長年にわたる蓄積が、シワ・たるみなどの光老化(photoaging)の一因になるとされています。光老化とは、紫外線の繰り返し照射によって皮膚が変化していく現象のことです。そのため、日常の通勤・家事・デスクワーク中でも、窓越しのUVAは届いています。「今日は晴れていないから平気」ではなく、日常的なUVAケアが、長い目で見た素肌への向き合い方といえます。
PAの「+」はどう決まるか―PPD値との関係
PAのランクは、PPD値(Persistent Pigment Darkening、持続型即時黒化)という測定値をもとに決定されます。
PPD値とは
PPDとは、UVAを照射したときに肌が黒化する(色素が沈着する)反応を指標化したもの。SPFがUVBに対する「何倍の紫外線量まで耐えられるか」を示すのと同じ考え方です。PPD値が高いほどUVAに対する防御倍率が高いことを意味します。
PAランクとPPD値の対応
| PAランク | PPD値 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| PA+ | 2以上4未満 | UVA防御効果あり |
| PA++ | 4以上8未満 | UVA防御効果かなりあり |
| PA+++ | 8以上16未満 | UVA防御効果非常にあり |
| PA++++ | 16以上 | UVA防御効果極めて高い |
※粧工連の基準(2013年改訂)による。また、たとえばPA++++(PPD16以上)の日焼け止めを、適切に使用した場合を考えてみましょう。何も塗らない状態と比べて、UVAによる黒化反応が16倍以上になるまで防御できるとされています。数字だけ見るとシンプルですが、これは塗布量と均一さが確保されたときの試験値である点を覚えておいてください。
SPFとPAの違い―セットで理解する
SPF(Sun Protection Factor)はUVBに対する指標、PAはUVAに対する指標。二つは守る紫外線の種類が異なります。
| SPF | PA | |
|---|---|---|
| 対象紫外線 | UVB(短波長) | UVA(長波長) |
| 測定の基準 | 赤くなるまでの時間の倍率 | 黒化反応の倍率(PPD値) |
| 表示方法 | 数値(例:SPF50) | +の段階(PA+〜PA++++) |
| 主なダメージ | 日焼け・サンバーン | 光老化(シワ・たるみの一因) |
「SPFが高ければ十分」と考えがちですが、SPFだけではUVAへの防御は保証されません。SPFとPAの両方を確認することが、バランスのよいUV防御の基本です。
日常のシーン別・PA値の目安
PA値は高ければ高いほどよいわけではなく、生活シーンに合わせた選択が重要です。一般的に以下が参考にされています(製品の使用感・成分との兼ね合いも考慮してください)。
| 生活シーン | PA目安 | SPF目安 |
|---|---|---|
| 室内中心・短時間の外出 | PA+ 〜 PA++ | SPF10〜20程度 |
| 通勤・散歩・日常的な外出 | PA++ 〜 PA+++ | SPF20〜30程度 |
| 屋外での長時間活動・レジャー | PA+++ 〜 PA++++ | SPF30〜50+程度 |
| 海・山・スポーツ など | PA++++ | SPF50〜50+程度 |
※あくまで一般的な目安です。肌質・汗の量・活動内容によって異なります。
PA値を正しく活かす3つのポイント
1. 適切な量を塗る
試験は一定量(一般に1 cm²あたり2 mg)を均一に塗布した条件で行われます。薄塗りや塗りムラがあると、実際の防御力はPPD値を下回ることがあります。顔なら小豆2粒程度を目安に、丁寧になじませてください。
2. こまめに塗り直す
汗・皮脂・摩擦によって時間とともに効果は落ちていきます。屋外での活動中は2〜3時間ごとの塗り直しを心がけることで、防御効果をより安定させられます。
3. SPFとセットで選ぶ
前述のとおり、UVBとUVAは異なる指標で防御されます。どちらか一方だけでなく、用途に合ったSPFとPAの組み合わせを選ぶことが、バランスのよいUVケアにつながります。
研究・参考情報
PA基準とPPD測定法の策定経緯
PAシステムは1996年に日本化粧品工業連合会(粧工連)が導入。当初はPA+〜PA+++の3段階でした。2013年の改訂でPA++++(PPD16以上)が追加され、現在の4段階体系になりました。改訂の背景には、より高いUVA防御力を持つ製品の登場と、消費者への情報提供の充実化への要求がありました。
UVAと光老化に関する研究知見
紫外線(とくにUVA)に長期間さらされることは、皮膚の真皮に存在するコラーゲンやエラスチン(肌の弾力を保つたんぱく質)に影響を与える可能性があります。この点は、皮膚科学領域で広く指摘されています。「光老化」は自然な加齢変化とは区別され、適切なUV防御によって一定程度軽減できる可能性が示唆されています。
PPD値とPA値の測定条件
PPD試験は、ISO 24442(体内試験)またはISO 24443(体外試験)に基づく方法で実施されることが多くあります。被験者の肌に製品を均一に塗布し、UVA照射後の黒化量を測定する方法です。試験条件が実際の使用環境と異なるため、PA値はあくまで製品比較の目安として捉えることが適切です。
まとめ
- PAはUVA防御力の指標。+の数が多いほどPPD値が高く、防御倍率が大きい。
- UVAは波長が長く、曇天や窓越しでも届く。即座の赤みが出にくい分、気づかないまま蓄積されやすい。
- PAランクはPPD値で決まる。PA+(PPD2以上)〜PA++++(PPD16以上)の4段階。
- SPFとPAはセットで確認する。どちらか一方ではUVBとUVAの両方をカバーできない。
- 塗布量・均一さ・塗り直しが、製品本来の防御力を活かすための実践的な要件。
- 生活シーンに合わせたPA値を選び、2〜3時間ごとの塗り直しを日課にすることが、日常的なUVケアの基本となります。
よくある質問
PAとSPFは何が違うのですか?
SPFはUVB(短波長紫外線)への防御力、PAはUVA(長波長紫外線)への防御力を示す別々の指標です。守る紫外線の種類が異なるため、両方を確認して選ぶことが大切です。
PA++++なら一日中塗り直さなくても大丈夫ですか?
PA++++は高いUVA防御力を示しますが、汗・皮脂・摩擦で効果は時間とともに低下します。屋外活動中は2〜3時間ごとの塗り直しを心がけることで、防御効果をより安定させられます。
室内にいるときもPA値が高い日焼け止めが必要ですか?
UVAは窓ガラスを透過するため、室内にいても完全にゼロになるわけではありません。デスクワーク中心の日はPA++程度の軽めの製品でも対応できる場合がありますが、窓際での長時間作業などではより高いPA値を選ぶと安心です。
PPDとはどういう意味ですか?
PPD(Persistent Pigment Darkening)は「持続型即時黒化」のことで、UVAを浴びたときに肌が黒化する反応を数値化したものです。PA値はこのPPD値をもとに段階分けされており、PPD値が高いほどUVAに対する防御倍率が高いことを意味します。
海外製品にPA表示がないのはなぜですか?
PAは日本化粧品工業連合会が定めた日本独自の格付けシステムです。海外製品ではUVAロゴや独自のPPD数値表示など、別の基準が使われることが多く、PA表示がなくてもUVA防御効果がないわけではありません。ただし基準が異なるため単純比較には注意が必要です。
参考文献
- 日本化粧品工業連合会「紫外線防止効果測定法基準の改定とそれに伴う『PA++++』表示の追加」(2012年11月14日発表) https://www.jcia.org/user/common/download/approach/news_release/JCIA_release20121114-UV-PF.pdf
- ISO 24442:2011, Cosmetics — Sun protection test methods — In vivo determination of sunscreen UVA protection. https://www.iso.org/standard/46521.html
- ISO 24443:2012, Determination of sunscreen UVA photoprotection in vitro. https://www.iso.org/standard/46522.html
- Gilchrest BA, Eller MS, Geller AC, Yaar M. ‘The pathogenesis of melanoma induced by ultraviolet radiation.’ N Engl J Med. 1999;340(17):1341-1348. — 紫外線曝露とメラノーマ発生機序に関する総説 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10219070/
- Diffey BL. ‘Sources and measurement of ultraviolet radiation.’ Methods. 2002;28(1):4-13. — 紫外線の種類と波長に関する一般的解説 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12231182/
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。