「今日は曇りだから、紫外線は弱いだろう」と空を見上げて判断していませんか。気象庁が毎日発表しているUVインデックスは、気温でも空の明るさでもなく、肌に届く紫外線の強さそのものを表した数字です。この記事では、その数字が何を測っているのか、そして何番のときにどう動けばいいのかを、公的機関の資料をもとに整理します。
UVインデックスとは、何を表している数字?
肌に届く紫外線の強さを、人体への影響の大きさで重みづけして指標化したものです。世界保健機関(WHO)が世界気象機関(WMO)や国連環境計画(UNEP)などと共同で開発しました。世界共通のものさしで、日本では気象庁が毎日発表しています。海外に出かけたときも、現地のUVインデックスを同じ感覚で読めます。
波長ごとの「肌への効きめ」で重みづけしている
紫外線は波長によって肌への影響の大きさが違います。そこで国際照明委員会(CIE)が、波長ごとの影響度に重みをつけた紅斑(こうはん)作用スペクトルを定めています。気象庁は地上に届く紫外線に重みをかけ、290〜400ナノメートルで波長ごとに足し合わせ「紅斑紫外線量」を求めています。単なる光の量ではなく、「肌にとってどれだけ効いてくるか」に換算した量だ、というのがこの指標の出発点です。
計算式は「紅斑紫外線強度 ÷ 25」
環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」は、UVインデックスを次のように定義しています。CIE紅斑紫外線強度(mW/㎡)÷ 25という式です。25で割っているのは、日常生活で使いやすい 0〜11+ という小さな数値に収めるためです。物理量として測った値を、そのまま予定を決められる目盛りに読み替えたもの、と考えると距離が縮まります。
数値はどう区分され、どんな行動が推奨されている?
区分は5段階です。環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」と気象庁は、対応表を示しています。この表はWHOのガイド(2002年)にもとづいて整理されたものです。
| UVインデックス | 区分 | すすめられている対策(環境省・気象庁の資料より要約) |
|---|---|---|
| 1〜2 | 弱い | 戸外で過ごしてよい範囲とされる |
| 3〜5 | 中程度 | 日中は出来るだけ日陰を利用する。長袖シャツ・日焼け止め・帽子を利用する |
| 6〜7 | 強い | 同上 |
| 8〜10 | 非常に強い | 日中の外出は出来るだけ控える。長袖シャツ・日焼け止め・帽子を利用する |
| 11+ | 極端に強い | 同上 |
覚えるのは「3」と「8」の2つだけ
表を丸暗記する必要はありません。行動が切り替わる境目は3と8の2か所しかないからです。WHOのガイドは、UVインデックスが3を下回る範囲では通常の状況で特別な対策は必要とされないとしています。そのうえで3を超えたら対策が必要で、8以上ではそのメッセージをさらに強めるべきだとしています。
3で「日陰と装備」、8で「時間帯そのものをずらす」。この2段階だけ頭に入れておけば、毎日の判断はほぼ足ります。
6〜7と8〜10で、対策の性質が変わる
3〜5と6〜7は推奨行動が同じで、8〜10と11+も同じです。つまり対策は数値が1上がるごとに増えるのではなく、8で「守りながら過ごす」から「その時間を避ける」へ質が変わります。
WHOのガイドも、段階的に対策を増やす考え方には科学的な裏づけが乏しいとしています。対策が必要なら、日陰・衣類・サングラス・日焼け止めをまとめて使うべきだとしています。なお同ガイドは、露出部分にSPF15以上の広域スペクトルの日焼け止めをたっぷり塗り、こまめな塗り直しをすすめています。
なぜ気温や見た目の天気と一致しないの?
測っているものが違うからです。ここがこの指標の分かりにくいところであり、同時に役に立つところでもあります。
暑さを感じさせているのは、紫外線ではない
WHOのガイドは「暑さを感じないときは日焼けしない」という思い込みを誤りとして明快に説明しています。日焼けは私たちが感じることのできない紫外線によるもので、暑さを感じさせているのは赤外線である、というものです。暑さは体感できるのに紫外線は体感できない。だからこそ、体感の代わりになる数字が必要になります。
4月と10月では、暖かいのは10月・紫外線が強いのは4月
気象庁がつくばで観測した日最大UVインデックスの月平均値を見ると、4月の値は10月を毎年上回っています。2025年は4月4.9に対して10月3.4、2024年は4.6に対して3.6でした。一方、同じ地点の平年値では月平均気温は4月が12.8度、10月が16.6度と、気温は10月のほうが4度近く高いのです。紫外線は太陽の高さとオゾン量で決まり、気温は地面や海の温まりの遅れで決まるため、ピークの時期がずれています。
薄い雲は、紫外線の8割を通す
環境省のマニュアルによれば、薄い雲の場合は紫外線の80%以上が通過するとされています。UV-Bに限れば80〜90%が透過します。加えて、屋外では太陽から直接届く紫外線と、空気中で散乱して届く紫外線がほぼ同じくらいの量になっています。空が白く曇って見えるのは可視光線が散らされているからで、その散乱は紫外線をゼロにしてくれるわけではありません。
気象庁のUVインデックスはどう公開されている?
「紫外線情報(分布図)」は、全国を約20km四方(緯度0.2度・経度0.25度間隔)に分けて公開されています。UVインデックスは毎正時の値です。分布図を拡大して地点を選べば、全国142地点について時間ごとの変化を確かめられます。
図は3種類あり、役割が違う
公開されているのは天気を考慮した予測図・晴天時の予測図・実況にあたる解析図の3つです。当日の予測は5時30分頃、翌日の予測は17時30分頃に更新され、いずれも6〜18時が対象。解析図は6〜18時の毎時20分頃に更新されます。前夜に翌日を見て予定を組み、朝にもう一度当日を確かめる、という使い方が自然です。
| 図の種類 | 内容 | 更新のタイミング |
|---|---|---|
| 予測図(天気を考慮) | その地域・時刻で平均的に予測される値 | 5時30分頃(当日)/17時30分頃(翌日) |
| 予測図(晴天の場合) | 晴れた場合に予測される値 | 5時30分頃(当日・翌日) |
| 解析図(実況) | 当日の日照時間などから解析した値 | 6〜18時の毎時20分頃 |
「晴天時」の値は、雲が切れたときの上限として読む
晴天時の予測図がわざわざ別に用意されている理由を、気象庁ははっきり書いています。曇りの場合でも一時的に太陽がのぞくと強い紫外線を浴びることがあるため、その場合の値を示している、というものです。天気を考慮した予測はあくまで平均的な見込みなので、雲が流れて日が差した瞬間の強さは晴天時の値に近づきます。曇天の日は、低いほうの数字ではなく高いほうの数字で装備を決めると外しにくくなります。
時間帯・季節・地域で、数値はどのくらい動く?
同じ場所でも、時間と月と緯度で大きく変わります。指標を読むときは、日最大値だけでなく「何時に何番か」まで見ておくと精度が上がります。
夏は10〜14時に1日の約70%、冬は80〜85%
環境省のマニュアルは、夏の午前10時〜午後2時に1日のおよそ70%が集中すると整理しています。冬の同じ時間帯では1日の照射量の80〜85%が集中するとしています。冬のほうが割合として集中しているのは、日が短く太陽が高く上がる時間が限られるからです。1年では4〜9月に年間のおよそ70〜80%が集中します。
札幌でも、夏の昼は「非常に強い」に届く
地域差もはっきりあります。気象庁の観測値(日最大UVインデックスの月平均値)は2017年7月、札幌5.9・つくば7.3・那覇10.9でした。
ただし環境省のマニュアルは、次の点を指摘しています。全国的に見て比較的UVインデックスが低い札幌でも、夏の昼頃は「8〜10:非常に強い」に達するという点です。北にいるから安心、という読み方はできません。
表示された数値より強くなるのは、どんなとき?
分布図は代表的な条件で計算されているため、条件が外れると実際の紫外線はそれより強くなります。気象庁自身が注意点として挙げているのは、標高・地表面の反射・空気の澄み具合の3つです。
高い場所、反射する地面、澄んだ空気
気象庁は、紫外線は標高が100m高くなると1%増加するとしています。環境省とWHOは標高1000mごとに10〜12%増えるとしており、見ている幅は違っても方向は同じです。
地表面の反射率は素材で大きく違います。環境省のマニュアルでは新雪80%、砂浜10〜20%、水面10〜20%と示されています。コンクリート・アスファルトは10%、草地・芝生や土面は10%以下です。分布図が前提にしているのは草地や土の反射なので、砂浜や雪の上では表示より強くなります。
もう一つが空気の澄み具合です。紫外線は大気中の浮遊微粒子(エーロゾル)によって2割程度減衰しています。分布図は地域・月ごとの平均的な量を前提にしています。よく晴れて遠くの山まで見える日は、数値を少し高めに見積もっておくと安全側に倒せます。
研究・参考情報
UVインデックスがただの紫外線量ではなく「肌への効きめ」に換算した量である、という点はこの指標の設計思想そのものです。国際照明委員会(CIE)の紅斑作用スペクトルで波長ごとに重みづけします。290〜400ナノメートルで積分すると紅斑紫外線量になります。これを25で割る手順が国際的に共有されているから、札幌の6と那覇の6を同じ意味で比べられます。
WHOは、火傷までの時間を伝える方式(バーンタイム)よりも、行動に直結する単一の数値のほうが伝わると判断しました。そのためUVインデックスを開発し、ガイドはバーンタイムの報道は推奨しないと明記しています。
予測は「平均」と「上限」を分けて示している
もう一つ押さえておきたいのは、この指標が「平均的な予測」と「起こりうる上限」を分けて公開されていることです。天気を考慮した予測と晴天時の予測が並んでいるのは、曇天の日の判断が難しいことを制度の側が認めているからだといえます。
まとめ
- UVインデックスは肌に届く紫外線の強さを人体への影響度で重みづけした指標で、CIE紅斑紫外線強度(mW/㎡)を25で割って0〜11+に指標化している
- 区分は1〜2「弱い」、3〜5「中程度」、6〜7「強い」、8〜10「非常に強い」、11+「極端に強い」の5段階
- 行動が切り替わる境目は3と8の2か所。3を超えたら日陰・長袖シャツ・帽子・日焼け止め、8以上は日中の外出そのものを控える
- 暑さを感じさせているのは赤外線であり、紫外線は体感できない。つくばでは気温の高い10月より4月のほうがUVインデックスが高い
- 薄い雲は紫外線の80%以上を通す。曇天の日は晴天時の予測値を上限として読むと外しにくい
- 気象庁は天気を考慮した予測・晴天時の予測・解析の3種類を、6〜18時を対象に公開している
- 標高100mごとに約1%増え、新雪80%・砂浜10〜20%などの反射がある場所では表示より強くなる
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
UVインデックスはどこで見られますか?
気象庁のホームページで「紫外線情報(分布図)」として毎日公開されています。当日の予測は5時30分頃、翌日の予測は17時30分頃に更新され、いずれも6〜18時の毎正時の値が掲載されます。実況にあたる解析図は、6〜18時の毎時20分頃に更新されます。
曇りの日でもUVインデックスは高くなりますか?
高くなることがあります。環境省の紫外線環境保健マニュアルによれば、薄い雲の場合は紫外線の80%以上が通過するとされています。UV-Bでは80〜90%が透過するとされています。
気象庁も「曇りの場合でも一時的に太陽がのぞくと強い紫外線を浴びることがある」としています。そのため、天気を考慮した予測とは別に晴天時の予測を公開しています。
UVインデックスがいくつから対策すればよいですか?
WHOの「Global Solar UV Index: A Practical Guide」は2002年発行の指針です。この指針は、3を超えると対策が必要だとしています。8以上では、そのメッセージをさらに強めるべきだとしています。環境省・気象庁が示す区分でも、3〜5の「中程度」から日陰・長袖シャツ・帽子・日焼け止めの利用がすすめられています。
表示されている数値より強い紫外線になることはありますか?
あります。気象庁は、紫外線が標高100mにつき約1%増えることを注意点として挙げています。また、分布図は地表面が草地や土である場合の反射を前提にしていることも注意点です。砂浜のように反射の大きい場所や、空気が普段より澄んだ日、山岳部では、表示より強い紫外線になることがあります。
参考文献
- 気象庁「UVインデックスとは」|https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-50uvindex_manual.html
- 気象庁「紫外線情報の解説」|https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-55uvindex_info.html
- 気象庁「UVインデックスを求めるには」|https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-51uvindex_define.html
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)|https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
- WHO, WMO, UNEP, ICNIRP "Global Solar UV Index: A Practical Guide" (2002)|https://www.who.int/publications/i/item/9241590076
- 気象庁「日最大UVインデックス(観測値)の月平均値の数値データ表(つくば)」|https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/uvimax_monthave_tsu.html
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。医学的な診断・治療を目的とするものでもありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。