この記事のポイント
- SPFはUVB(日やけの赤み)の指標、UVAの防御を示すのはPAやPPDで、指標の役割が違います。
- 波長400nmに近いロングUVA(UVA1)は肌の奥まで届きやすく一年中降り注ぐとされ、PA表示だけでは対応の度合いを読み取りにくい面があります。
- PA++++やPPD値に加え、ブロードスペクトラム・クリティカルウェーブレングス・UVA円マークといった手がかりを合わせて見ると、ロングUVA対応を見分けやすくなります。
「SPFの数字が大きいほど、あらゆる紫外線をしっかり防げる」——そう思って日やけ止めを選んでいませんか。実は、SPFが示すのは紫外線の一部だけで、肌の奥まで届くロングUVAへの備えは、別の表示を読み解く必要があります。この記事では、SPFとPAがそれぞれ何を守る指標なのか、そして波長400nm近くまで届くロングUVA(UVA1)への対応をどう見分けるかを、データと表でやさしく整理します。
SPFとPAは、それぞれ何を守る指標?
結論から言うと、SPFはUVBへの、PAはUVAへの備えを示す、役割の違う指標です。太陽の紫外線は大きく2種類に分けられます。波長のより短いUVB(およそ290〜320nm)と、より長いUVA(およそ320〜400nm)です。この2つは、肌への届き方も、肌に及ぼす働きも異なります。
SPF(Sun Protection Factor)は、UVBが引き起こす肌の赤み(日やけによる炎症)を、どれだけ遅らせられるかを試験で数値化したものです。一方のPA(Protection Grade of UVA)は、UVAによる肌の黒化のしにくさを示し、PPD(Persistent Pigment Darkening=持続型即時黒化)という試験方法をもとに、PA+からPA++++の4段階で表されます。PA++++はPPD値が16以上に相当するとされています。
つまり、SPFの数字だけを見ても、UVAへの備えは分かりません。UVBとUVAは性質が違うため、日やけ止めを選ぶときはSPFとPAをセットで確認することが、いちばんの出発点になります。
ロングUVA(UVA1)とは?なぜ見落とされやすい?
ひとことで言うと、ロングUVAはUVAの中でもとくに波長が長い340〜400nmの帯域で、肌の奥まで届きやすいのが特徴です。UVAはさらに、波長の短いUVA2(およそ320〜340nm)と、波長の長いUVA1(およそ340〜400nm)に分けられます。このUVA1が、いわゆるロングUVAです。
ロングUVAが見落とされやすい理由は3つあります。まず、波長が長いほど肌の奥へ届きやすいこと。ある研究では、UVA1はUVBほど肌の層で弱まらず、基底層の細胞にまで影響が及びうると報告されています。次に、一年を通して降り注ぐ量が比較的安定していること。温帯の冬でもUVA1が総紫外線の多くを占める場面があるとされ、季節や天気で油断しにくい相手です。そして、窓ガラスを通り抜けやすいため、屋内や車内でも届きやすいという点もあります。一日じゅう室内にいても、まったく無縁とは言い切れないのです。
こうしたロングUVAの作用は、光老化と呼ばれる肌の変化に関わるとされています。ただしこれは化粧品で断定できる話ではなく、あくまで研究で報告されている一般的な知見として押さえておくのがよいでしょう。
PA表示だけではロングUVA対応を読み取りにくいのはなぜ?
結論から言うと、PAのもとになるPPDはUVA全体の平均的な守りを示すため、波長400nmに近い長波側にどれだけ対応しているかまでは、数値から直接は読み取りにくいからです。
PPD試験はUVAによる黒化を指標にしますが、この黒化はUVA帯域の中でも比較的短い波長側で起こりやすい反応です。そのため、同じPA++++でも、波長400nm近くのロングUVAまでしっかりカバーしているかどうかには、処方による幅がありえます。PAの段階表示は上限がPA++++で頭打ちになるため、それ以上の細かな差は表示だけでは見えにくい、という事情もあります。
そこで役立つのが、UVAの守りが「どの波長まで広がっているか」を示す考え方です。アメリカのFDAは、製品の紫外線吸収の90%が波長370nm以上で得られるものを、ブロードスペクトラム(広域スペクトル)と表示できるとしています。この370nmという値がクリティカルウェーブレングス(臨界波長)で、大きいほどUVAの長波側までカバーが広がっていることの目安になります。さらにFDAの提案では、UVA1(340〜400nm)を含む、より厳しいバランスの基準も検討されてきました。同じ「UVA対応」でも、どの波長までを見ているかで中身が変わるわけです。
ロングUVA対応をどう見分ける?
まず押さえたいのは、ひとつの表示だけで判断せず、複数の手がかりを重ねて見ることです。パッケージや製品情報にある次の手がかりを組み合わせると、ロングUVAへの対応を推し量りやすくなります。
| 手がかり | 何を示す? | 目安・読み方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| PA(+〜++++) | UVA全体の守りの段階 | PA++++でPPD16以上に相当 | UVA全体の平均で長波側の詳細は不明 |
| PPD値 | UVAの守りの数値 | 数値が大きいほど手厚い | 長波側の対応までは示さない |
| ブロードスペクトラム | UVAの長波側までの広がり | 表示があれば広域カバーの目安 | 国・基準で条件が異なる |
| クリティカルウェーブレングス | どの波長まで守るか | 370nm以上が広域の目安 | 記載のない製品も多い |
| UVA円マーク | 欧州基準のUVA比率 | UVA防御指数がSPFの1/3以上 | 主に欧州系製品に表示 |
UVA円マークは、丸で囲んだ「UVA」の表示で、欧州の基準(UVA防御指数がSPFの3分の1以上)を満たすことを示します。これらの手がかりが複数そろっているほど、波長400nmに近いロングUVAまで意識した処方である可能性が高まります。とはいえ、表示は国や規格で条件が違うため、あくまで目安として読み解くのが安心です。数値の高さだけを競うより、こうした手がかりの「そろい方」を見るほうが実用的といえます。
選び方と使い方で気をつけることは?
大切なのは、表示を手がかりに選び、正しく使い切るという両輪です。どんなに手がかりのそろった日やけ止めでも、塗り方しだいで実際に発揮される守りは変わってきます。
選ぶときは、SPFとPAを必ずセットで確認し、可能ならブロードスペクトラムやUVA円マークの有無も見てみましょう。日常使いなら高すぎる数値にこだわりすぎず、毎日ムラなく続けられる使い心地を優先するのも一つの考え方です。肌に合うかどうかは処方や肌の相性で変わり個人差があるため、まずは少量から試すと安心です。
使うときは、規定量をムラなく塗ることが前提です。試験で示されるSPFやPAの値は決められた塗布量での結果で、薄づきだと守りは目減りします。顔なら手のひらにパール2粒ほどが一つの目安とされます。そして、汗や皮脂、こすれで日やけ止めは少しずつ落ちていくため、2〜3時間ごとの塗り直しを心がけてください。一度塗れば一日じゅう安心というわけではなく、こまめに重ねることが、ロングUVAを含む紫外線と上手につきあうコツです。日やけ止めだけに頼らず、日傘・帽子・衣類も組み合わせると、より無理なく続けられます。
研究・参考情報
- UVA1(340〜400nm)はUVBほど肌の層で弱まらず、より深い層の細胞にまで影響が及びうると報告されています(Tewari ら, 2013)。
- ロングUVAは反応性酸素種を介した酸化ストレスなどを通じ、色素沈着や光老化とされる変化に関わると総説で整理されています(Bernerd ら, 2022)。
- FDAは紫外線吸収の90%が波長370nm以上の製品をブロードスペクトラムと表示でき、欧州ではUVA防御指数をSPFの3分の1以上とする基準が用いられていると報告されています(Guan ら, 2021)。効果や感じ方には個人差があります。
まとめ
- SPFはUVB、PA・PPDはUVAの指標で、役割が違うため両方をセットで確認します。
- ロングUVA(UVA1)は340〜400nmで肌の奥まで届きやすく、一年中降り注ぐとされ、光老化とされる変化に関わると報告されています。
- PAはUVA全体の平均を示すため、波長400nmに近い長波側の対応までは読み取りにくい面があります。
- ブロードスペクトラム、クリティカルウェーブレングス370nm以上、UVA円マークなどの手がかりを重ねて見ると、対応を見分けやすくなります。
- 表示は目安として選び、規定量を塗り、2〜3時間ごとの塗り直しと日傘・帽子などを組み合わせて使いましょう。
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
SPFが高ければ、ロングUVAも防げますか?
いいえ、SPFはUVB(日やけの赤み)に対する指標で、UVAへの備えは示しません。UVAの守りはPAやPPDで確認します。ロングUVAまで意識するなら、PA表示に加えてブロードスペクトラムやUVA円マークといった手がかりも合わせて見るのがおすすめです。
PA++++なら、ロングUVAも安心と考えてよいですか?
PA++++はUVA全体への守りが手厚いことを示しますが、そのもとになるPPDはUVA全体の平均的な指標です。波長400nmに近いロングUVA(UVA1)にどれだけ対応しているかは数値からは直接読み取りにくいため、ブロードスペクトラムやクリティカルウェーブレングスなど別の手がかりも参考にすると安心です。
ロングUVA(UVA1)とは何ですか?
UVAのうち波長が長い340〜400nmの帯域をUVA1、いわゆるロングUVAと呼びます。波長が長いほど肌の奥へ届きやすく、一年を通して降り注ぐ量が比較的安定しているとされます。窓ガラスも通り抜けやすいため、屋内や車内でも届きやすいのが特徴です。
クリティカルウェーブレングスやUVA円マークはどう見ればよいですか?
クリティカルウェーブレングス(臨界波長)は、その日やけ止めがどの波長まで守るかの目安で、370nm以上だと広域カバーの目安になります。UVA円マークは、丸で囲んだUVAの表示で、欧州の基準(UVA防御指数がSPFの3分の1以上)を満たすことを示します。いずれも国や規格で条件が違うため、あくまで目安として読み解いてください。
ロングUVA対応の日やけ止めなら、塗り直しは不要ですか?
いいえ、塗り直しは必要です。SPFやPAの値は決められた塗布量での試験結果で、薄づきや、汗・皮脂・こすれで落ちると守りは目減りします。2〜3時間ごとを目安にこまめに塗り直し、日傘や帽子、衣類なども組み合わせると、より無理なく続けられます。
参考文献
- Tewari A, Grage MML, Harrison GI, Sarkany R, Young AR. "UVA1 is skin deep: molecular and clinical implications." Photochem Photobiol Sci. 2013;12(1):95-103. PMID: 23192740 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23192740/
- Bernerd F, Passeron T, Castiel I, Marionnet C. "The Damaging Effects of Long UVA (UVA1) Rays: A Major Challenge to Preserve Skin Health and Integrity." Int J Mol Sci. 2022;23(15):8243. doi:10.3390/ijms23158243. PMID: 35897826 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35897826/
- Guan LL, Lim HW, Mohammad TF. "Sunscreens and Photoaging: A Review of Current Literature." Am J Clin Dermatol. 2021;22(6):819-828. doi:10.1007/s40257-021-00632-5. PMID: 34387824 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34387824/
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。