この記事のポイント
- 男性が日焼け止めを避ける最大の理由は使用感で、皮脂の多い肌に合う軽い一本を選ぶと習慣にしやすくなります。
- 皮脂が多いと日焼け止めの膜が崩れやすいため、こまめな塗り直しと崩れにくい処方選びが継続の鍵です。
- ヒゲの生え際・耳・首の後ろ・生え際は男性がとくに塗り忘れやすい盲点です。
「日焼け止めはベタベタするから苦手」——そう感じて、UVケアをつい後回しにしている男性は少なくありません。ですが実は、男性の肌は皮脂が多く、塗った日焼け止めがかえって崩れやすいという特徴があり、べたつきを嫌って塗らないことが日やけの一因になりがちです。この記事では、男性の肌質に合った日焼け止めの選び方と、べたつかず続けるための具体的なコツを、調査データからわかりやすく読み解きます。
なぜ男性は日焼け止めが続かないの?
続かない大きな理由は、効果への疑問ではなく使用感の不快さにあります。肌質に合う一本を選べば、習慣化のハードルは大きく下がります。
男性のUVケアは、そもそも女性に比べて習慣として定着しにくいことが調査でわかっています。米国の全国調査では、日差しの強い日に1時間以上外にいるとき「いつも日焼け止めを使う」と答えた人は、男性で12.3%、女性で29.0%と、およそ2倍以上の開きがありました。顔への使用に絞った別の調査でも、定期的に塗っている人は男性18.1%、女性42.6%にとどまっています。この差は、男性がケアを軽視しているというより、続けにくい何かがあることを示しています。
では、男性は何を理由に敬遠しているのでしょうか。705人の男性を対象にした調査では、約83%が毎日は日焼け止めを使っていないと回答し、使用をためらう最も強い要因として挙げられたのが「べたつき・過剰な油っぽさ」でした。多くの男性にとって、続かない壁は「面倒」よりも先に「塗り心地」なのです。日焼け止めを「べたつく・厚ぼったい・化粧のよう」と感じて敬遠する声も報告されており、こうした印象が習慣化を遠ざけてきました。裏を返せば、さっぱりした使用感の製品を選ぶことが、そのまま継続への近道になります。この調査では、日焼け止めを使う動機として「肌がんのリスクを下げたい(82%)」「若々しく見せたい(42%)」が上位でした。守りたい理由は十分にあるからこそ、あとは続けられる一本にたどり着けるかどうかが分かれ目になります。
なぜ男性の肌は日焼け止めが崩れやすいの?
男性の肌は皮脂の分泌量が多い傾向があり、その皮脂が日焼け止めの膜を浮かせてムラを作りやすいためです。
研究では、男性は女性よりも皮脂の分泌が多いと報告されています。これは、皮脂腺のはたらきに関わる男性ホルモン(アンドロゲン)の影響が大きいと考えられており、とくに額から鼻にかけてのTゾーンは皮脂腺が密に集まっているぶん、テカリやすい場所です。日焼け止めは肌の表面に均一な膜を作ることで紫外線をやわらげる仕組みなので、あとから出てくる皮脂や汗で膜が寄れたり流れたりすると、塗ったつもりでも守りに隙間ができてしまいます。「ベタつくのが嫌」という感覚と「崩れて効きが落ちる」という現象は、じつは同じ皮脂という原因でつながっているわけです。
ここで大切なのが塗り直しの考え方です。日焼け止めの効果を示すSPFやPAは、決められた量(肌1平方センチあたり2mgが試験の基準)を塗ったときの数値で、時間が経っても効果が続くことを保証するものではありません。実際には塗る量が基準の半分程度になりやすく、そのぶん守りも弱まります。皮脂や汗、こすれで膜は少しずつ落ちていくため、屋外で過ごす日は2〜3時間おきの塗り直しが目安とされています。皮脂が多い男性ほど、このこまめさが効いてきます。「塗り直し不要」という考えに頼りきらず、落ちる前提でケアを組み立てるのが現実的です。
どんな日焼け止めを選べばいい?
結論から言えば、皮脂が多い男性は軽い使用感と崩れにくさを両立するタイプから選ぶのが続けやすい方法です。テクスチャーごとの特徴を整理してみます。
| タイプ | 使用感 | 崩れにくさの傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ジェル | さっぱり軽い | 皮脂・汗で流れやすい面も | べたつきが苦手・普段使い中心 |
| 乳液・ミルク | しっとりなじむ | 標準的 | 乾燥も気になる混合肌 |
| さっぱりタイプ(皮脂吸着パウダー配合など) | マットでサラサラ | 崩れにくい傾向 | 皮脂が多い・テカリが気になる |
| スティック | 手を汚さず塗れる | 部分使い向き | 外出先での塗り直し用 |
毎日のベースには、軽さと崩れにくさのバランスがとれたジェルやさっぱりタイプが扱いやすく、外出先の塗り直しには手を汚さないスティックを組み合わせると続けやすくなります。ジェルは軽くて気持ちいい反面、皮脂で流れやすい面もあるので、テカリが強い人は皮脂を吸着するパウダー入りのマットな処方が相性よく感じられることが多いようです。数値の見方もおさえておきましょう。SPFはおもに肌が赤くなる紫外線(UVB)を防ぐ目安、PAはシワやたるみに関わるとされる紫外線(UVA)を防ぐ目安です。日常の通勤や買い物ならSPF30・PA+++前後でも役立つとされ、炎天下のレジャーや長時間の屋外作業ではSPF50前後が選ばれます。数字が大きいほど良いわけではなく、塗る量と塗り直しのほうが仕上がりを大きく左右します。
見落とされがちなのが塗る量です。顔全体なら、クリームならパール粒2個ぶん、液状なら1円玉大ほどが目安とされ、これより少ないと表示のSPF・PAが示す守りに届きにくくなります。ベタつきを嫌って薄く伸ばしすぎると、数値の高い製品でも実際の守りが下がってしまうのは、このためです。軽い使用感の製品を選ぶ狙いは、必要な量をストレスなく塗り切るためでもあります。なお、肌に合うかどうかは処方や体質との相性しだいで個人差があるため、心配な部位は少量から試すと安心です。刺激を感じたときは無理に使い続けず、気になる症状が続く場合は皮膚科への相談も選択肢になります。
塗り忘れやすい男性特有の盲点はどこ?
男性がとくに塗り忘れやすいのは、ヒゲの生え際・耳・首の後ろ・髪の生え際といった、鏡でパッと見えにくい部位です。
これは名前や一般論からは気づきにくい、実用的な盲点です。ヒゲが生えている部分は日焼け止めが毛にとられてなじみにくく、生え際の肌が無防備になりがちです。耳、とくに上のふちや裏側は顔を洗うときに忘れやすいのに、真横からの日差しをまともに受けます。首の後ろは自分では見えないうえ、短髪やうなじが出る髪型だと直射日光が当たり続け、車の運転や自転車の移動でも意外と焼けやすい場所です。髪の生え際やおでこの端も、髪があるつもりで油断しやすいところです。
こうした部位は、顔にサッと塗って終わりにすると確実に抜け落ちます。塗る順番を「額の生え際 → 耳 → 首の後ろ」までひとつながりの動作にしておくと、盲点を機械的に潰せます。屋外での塗り直し時にも、この見えにくい3か所を意識するだけでムラがぐっと減ります。通勤や外回りで左右どちらかの窓側に座ることが多い人は、その側の首や耳だけ日差しを受けやすいので、片側だけ塗り忘れないよう意識すると差がつきます。曇りの日でもUVAは雲を通り抜けて届くとされるため、天気に関係なく続けることも大切です。
続けるうえでは、置き場所と手順を固定してしまうのが効果的です。朝の洗顔や歯みがきのそばに日焼け止めを置き、身支度の一連の流れに組み込めば「塗るか塗らないか」を毎回考えずに済みます。塗り直し用のスティックはカバンや机に一本入れておくと、外出先でもハードルが下がります。見えない場所こそ守る、という発想と、迷わず手が伸びる仕組みづくりが、男性のUVケアを長続きさせる両輪になります。
研究・参考情報
- 米国の全国調査(2020年)では、日差しの強い日に「いつも日焼け止めを使う」男性は12.3%、女性は29.0%と報告され、すべての年齢層で女性のほうが高い割合でした。
- 米国成人を対象とした調査では、顔に定期的に日焼け止めを塗る人は男性18.1%・女性42.6%にとどまりました。
- 705人の男性を対象とした調査では、約83%が毎日は日焼け止めを使っておらず、使用をためらう最も強い要因として油っぽさ・べたつきが挙げられました。使用の動機は肌がんリスク低減(82%)と若々しい見た目(42%)が上位でした。
- 皮脂の分泌は男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受け、男性で多い傾向があると報告されています。
まとめ
- 男性が日焼け止めを避ける一番の理由は使用感で、さっぱりした一本を選ぶことが継続の近道です。
- 皮脂が多いと膜が崩れやすいため、2〜3時間おきの塗り直しと崩れにくい処方選びが鍵になります。
- 毎日のベースはジェルやさっぱりタイプ、外出先の塗り直しはスティックが扱いやすい組み合わせです。
- SPF・PAは試験にもとづく目安で、数字より塗る量と塗り直しが仕上がりを左右します。
- ヒゲの生え際・耳・首の後ろ・生え際は塗り忘れの盲点。ひとつながりの動作で確実に守りましょう。
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
メンズ用の日焼け止めと普通の日焼け止めは何が違うのですか?
処方の基本は同じですが、メンズ向けは皮脂が多い肌でもべたつきにくいよう、さっぱりした使用感やマットな仕上がり、皮脂を吸着するパウダー配合などに調整された製品が多い傾向です。表示のSPF・PAや使用感を見て、自分の肌質に合うものを選べば、男女どちら向けの製品でも問題ありません。
皮脂やテカリが気になります。日焼け止めはどう選べばいいですか?
さっぱりタイプやオイルフリー、皮脂吸着パウダー配合など、マットな仕上がりをうたう製品が扱いやすい傾向です。ただし崩れは皮脂や汗で必ず起こるため、選び方だけでなく2〜3時間おきの塗り直しを前提にすると、テカリと守りのバランスがとりやすくなります。
日焼け止めはどのくらいの頻度で塗り直せばいいですか?
屋外で過ごす日は2〜3時間おきが目安とされています。汗をかいたり顔をこすったりしたあとは、時間に関係なく塗り直すのが安心です。皮脂の多い男性は膜が崩れやすいので、手を汚さないスティックを持ち歩くと続けやすくなります。
SPFやPAは数字が大きいほど良いのですか?
数字が大きいほど強い紫外線対策の目安になりますが、大きければ安心というわけではありません。SPF・PAは決められた量を塗った試験にもとづく数値で、実際の仕上がりは塗る量と塗り直しの丁寧さに大きく左右されます。通勤や買い物ならSPF30・PA+++前後でも役立つとされています。
とくに塗り忘れやすい場所はどこですか?
ヒゲの生え際、耳(とくに上のふちや裏側)、首の後ろ、髪の生え際は、鏡で見えにくく塗り忘れやすい男性特有の盲点です。額の生え際から耳、首の後ろまでをひとつながりの動作で塗る習慣にすると、ムラを減らせます。
参考文献
- Holman DM, Berkowitz Z, Guy GP Jr, Hawkins NA, Saraiya M, Watson M. "Patterns of sunscreen use on the face and other exposed skin among US adults." J Am Acad Dermatol. 2015;73(1):83-92.e1. PMID: 26002066 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26002066/
- Roberts CA, Goldstein EK, Goldstein BG, Jarman KL, Paci K, Goldstein AO. "Men's attitudes and behaviors about skincare and sunscreen use behaviors." J Drugs Dermatol. 2021;20(1):88-93. doi:10.36849/JDD.2021.5470 — https://jddonline.com/articles/mens-attitudes-and-behaviors-about-skincare-and-sunscreen-use-behaviors-s1545961621p0088x/
- QuickStats: Percentage of Adults Aged ≥18 Years Who Always Use Sunscreen When Outside for >1 Hour on a Sunny Day, by Sex and Age Group — National Health Interview Survey, United States, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71(22):747 — https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7122a5.htm
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。