頭皮・髪の紫外線対策|見落としがちな「てっぺん」を守る

頭皮の紫外線対策、顔ばかりで頭のてっぺんは無防備になっていませんか。頭頂部・分け目は最も直射を受けるのに盲点。髪は乾燥・色あせ、頭皮は日やけ、と守る対象を切り分け、帽子・日傘・UVスプレー・分け目の工夫まで、実測データを添えてやさしく整理します。

頭皮・髪の紫外線対策|見落としがちな「てっぺん」を守る

この記事のポイント

  • 頭頂部や分け目は体のなかで最も太陽に近く水平に近いため、顔の数倍の紫外線を受けうる「最大の盲点」です。
  • 髪は乾燥・ごわつき・色あせというダメージ、頭皮は皮膚なので日やけ、と守る対象を切り分けて考えると対策が分かりやすくなります。
  • 帽子・日傘で物理的にさえぎるのが基本。分け目を時々変える、髪・頭皮用UVスプレーを数時間ごとに塗り直すといった工夫が実践的です。

日やけ対策というと、顔や腕に日焼け止めをていねいに塗るもの——そう思っていませんか。けれど、いちばん太陽に近く、まっすぐ直射を受けているのは、実は頭のてっぺんです。海外での実測研究では、水平に近い頭頂部は体のなかでも紫外線を受けやすく、顔が受ける量は頭頂部の一部にとどまるとも報告されています。この記事では、髪と頭皮それぞれで「何を守るのか」を切り分けながら、見落としがちなてっぺんの守り方を、データを添えて整理します。

そもそも髪や頭皮も日やけするの?

結論から言うと、髪も頭皮も紫外線の影響を受けます。ただし、受け方はまったく違います。頭皮は皮膚ですから、顔や腕と同じように日やけします。一方の髪はタンパク質のかたまりで、痛みを感じる神経も血のめぐりもありません。そのため、髪では日やけではなく、乾燥・ごわつき・色あせという形でダメージがあらわれるとされています。

つまり、同じ「頭」でも守る相手が二つあるわけです。ここを切り分けずに「なんとなく頭全体を守る」と考えると対策がぼやけます。まずは下の表で、守る対象と出やすい変化を整理しておきましょう。

守る対象正体出やすい変化主な守り方
頭皮皮膚日やけ・乾燥・ごわつき帽子・日傘・分け目の地肌用スプレー
タンパク質乾燥・パサつき・色あせUVカット加工・髪用スプレー・帽子

なぜ「頭のてっぺん」が最大の盲点なの?

頭頂部が盲点になるのは、そこが体のなかで最も太陽に近く、しかも水平に近い面だからです。紫外線は、太陽が高くのぼる日中ほど真上から降り注ぎます。太陽が真上に来る正午前後は、光が大気を通る距離が最も短くなり、地表に届く紫外線が強まります。このとき、地面と平行に上を向いた面ほど直射をまともに受け止めることになります。顔や体の前面は少し傾いているぶん受ける角度がゆるみますが、頭頂部だけは真正面から浴び続けるわけです。

オーストラリアで体の各部位が浴びる紫外線を実測した研究では、頭頂部を基準に比べたところ、顔が受ける量はおよそ19〜56%、垂直に近い面は平均で頭頂部の約38%にとどまったと報告されています。言いかえれば、まっすぐ上を向いた頭頂部や分け目は、顔の数倍の紫外線を受けうる面だということです。それなのに、日焼け止めを塗る人はほとんどいません。ここに「顔はていねいにケアするのに、頭は無防備」という大きなギャップが生まれます。

「髪があるからさえぎれるのでは?」と思うかもしれません。たしかに髪はある程度の紫外線を吸収しますが、その働きは髪の量・色・太さによって変わり、完全ではありません。髪の薄い方や髪を短く刈った方では、地肌に届く量がさらに増えます。とくに分け目・つむじ・生え際は地肌が直接のぞきやすく、髪をかき分けたその線に、いつも同じように直射が集中します。だからこそ、頭頂部は「気づかないうちに一番浴びている場所」になりやすいのです。


髪は紫外線でどう変わるの?

髪に出るのは、主に乾燥・ごわつき・色あせという変化です。髪はケラチンというタンパク質が、シスチン結合(ジスルフィド結合)という硫黄どうしのつながりでしっかり編み込まれてできています。研究では、紫外線がこの結合やタンパク質を切り、髪から水に溶け出すタンパク質が増えることが報告されています。イメージとしては、髪の内部を支える編み目が少しずつほどけていくような変化です。強い結合がゆるむと、髪はしなやかさや強さを保ちにくくなります。

ある実験では、黒髪・ブロンド・赤毛のいずれでも、紫外線や太陽光を当てたあとにタンパク質の流出が増えたと報告されています。色の濃い髪は色素のメラニンが紫外線をいくらか受け止めますが、それでもタンパク質の傷みを完全には防げないとされています。さらに、UVAは髪のメラニンそのものを分解し、赤茶けた色あせや退色につながると考えられています。カラーリングした髪が夏に褪せやすいのも、この延長線上の現象です。髪の表面をおおうキューティクルが紫外線で傷つくと、内部の水分や色素が逃げやすくなり、パサつきと退色が同時に進みやすくなります。

こうしてタンパク質と色素の両方がダメージを受けると、髪は水分を保ちにくくなり、パサつき・枝毛・手ざわりのごわつきとして実感されやすくなります。髪は肌のように生まれ変わって元に戻るわけではないため、傷んだ部分は基本的に予防でしか守れない、というのが大切なポイントです。


頭皮が日やけするとどうなるの?

頭皮は皮膚なので、強い紫外線を浴びると顔と同じように日やけし、赤みやほてり、乾燥、皮むけが起きることがあります。夏に「分け目がヒリヒリする」「頭皮が乾いてかゆい」「地肌が皮むけしてフケのように見える」と感じるのは、その日やけのサインであることも少なくありません。顔なら鏡ですぐ気づく変化も、髪に隠れた頭皮では見過ごされがちです。

ヒトの頭皮を使った試験では、紫外線が頭皮の皮膚に届くと、毛包(毛根を包む組織)をふくむ皮膚にダメージが及ぶことが確認されています。頭皮は自分の目で見えにくく、髪に隠れて気づきにくい場所だからこそ、ヒリつきや乾燥を感じてからあわてるのではなく、浴びる前に守っておく発想が役立ちます。とくに、海やプール、屋外スポーツなど強い日ざしの下に長くいる日は、頭皮まで意識してケアしておくと安心です。頭皮のトラブルが続くときは、自己判断で抱え込まず皮膚科への相談をおすすめします。


どう守ればいい?今日からできる実践的な対策は?

いちばん確実なのは、物理的にさえぎることです。頭頂部という盲点をふさぐには、日焼け止めを塗りにくい場所である分、帽子や日傘のように「面でおおう」方法が向いています。次の表に、主な方法と守る相手を整理しました。

方法主に守るものポイント
つばの広い帽子頭皮・髪・顔つばが広いものほど頭頂部と顔を同時にカバー。通気性のよい素材だと蒸れにくい
日傘頭皮・髪・肩UVカット加工のものを。晴雨兼用なら急な天気にも対応
髪・頭皮用のUVスプレー髪・分け目の地肌手の届きにくい頭頂部に便利。数時間ごとの塗り直しを前提に
分け目を時々変える分け目の地肌同じ分け目に直射が集中するのを避ける、道具いらずの工夫
時間帯・日陰を選ぶ全身紫外線の強い日中の直射を避けるだけでも負担が減る

実践のコツは、これらを組み合わせることです。どれか一つだけに頼るより、面でおおう帽子や日傘に、点をおぎなうスプレーを重ねるほうが、盲点になりやすい頭頂部を安定して守れます。たとえば、外出前に髪と分け目にUVスプレーをなじませ、その上で帽子をかぶれば、面と点の両方から守れます。スプレーは時間とともに汗や皮脂で落ちていくため、2〜3時間ごとの塗り直しを目安にすると安心です。「一度塗れば一日中大丈夫」とは考えないほうがよいでしょう。

また、分け目を左右で変えるだけでも、いつも同じ地肌の一本の線に直射が当たり続けるのを防げます。道具もお金もいらない、今日からできる工夫です。髪については、乾燥が気になるときは帽子で覆う、こまめに保湿ケアをする、といった基本が結局いちばん効いてきます。守る対象を切り分け、盲点の頭頂部から先に手を打つ——それが、頭の紫外線対策をむだなく組み立てるコツです。


研究・参考情報

  • 体の各部位が浴びる紫外線を実測した研究では、頭頂部が最も紫外線を受けやすい面の一つとされ、顔が受ける量は頭頂部のおよそ19〜56%、垂直に近い面は平均で約38%にとどまったと報告されています。頭のてっぺんが「浴びやすい盲点」であることを裏づける知見です。
  • 髪のタンパク質と色素への影響を調べた研究では、黒髪・ブロンド・赤毛のいずれでも、紫外線や太陽光を当てたあとに水へ溶け出すタンパク質が増え、色の変化がみられたと報告されています。髪のダメージが「乾燥・色あせ」として出る仕組みの手がかりになります。
  • ヒトの頭皮を用いた試験では、紫外線が頭皮の皮膚に届くと、毛包をふくむ皮膚にダメージが及ぶことが確認されています。頭皮が「見えないけれど日やけする場所」であることを示す知見です。

まとめ

  • 頭頂部や分け目は体のなかで最も太陽に近く水平に近いため、顔の数倍の紫外線を受けうる「最大の盲点」です。
  • 同じ頭でも守る相手は二つ。頭皮は皮膚なので日やけ髪はタンパク質なので乾燥・色あせ、と切り分けると対策が明確になります。
  • 髪は紫外線でタンパク質の編み目とメラニンが傷み、パサつきや退色として出やすくなります。傷んだ髪は元に戻りにくく、予防が基本です。
  • 守り方の柱は帽子・日傘で面をおおうこと。加えて分け目を時々変える髪・頭皮用スプレーを2〜3時間ごとに塗り直すと、盲点の頭頂部をむだなく守れます。
  • 数値や研究は仕組みを理解する手がかりであって、効果を保証するものではありません。頭皮トラブルが続くときは皮膚科への相談をおすすめします。

監修・確認

ORIA Journal 編集部 編集部

ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。

よくある質問

髪があるから、頭皮に日焼け止めは必要ないのでは?

髪はある程度の紫外線を吸収しますが、その働きは髪の量・色・太さによって変わり、完全ではありません。とくに分け目・つむじ・生え際は地肌が直接のぞきやすく、同じ場所にいつも直射が集中します。頭頂部は水平に近く体のなかでも紫外線を受けやすい面のため、髪だけに頼らず、帽子や日傘、髪・頭皮用のUVスプレーで補うと安心です。

頭皮の日やけと髪のダメージは、対策が同じでいいですか?

守る対象が違うため、分けて考えると分かりやすくなります。頭皮は皮膚なので日やけ(赤み・乾燥・皮むけ)として、髪はタンパク質なので乾燥・ごわつき・色あせとしてダメージが出ます。帽子や日傘は両方をまとめて守れる基本の方法ですが、髪にはUVカット加工のヘアケアやスプレー、頭皮には分け目の地肌までスプレーを届かせる、といった補い方が役立ちます。

分け目を変えると本当に意味がありますか?

はい、道具もお金もいらない実践的な工夫です。いつも同じ分け目にしていると、その一本の線の地肌にだけ直射が集中し続けます。分け目を左右で時々変えるだけで、同じ場所が浴び続けるのを避けられます。ただしこれだけで十分というわけではないので、帽子やスプレーとあわせて使うのがおすすめです。

髪や頭皮用のUVスプレーは、一度塗れば一日もちますか?

一日中もつとは考えないほうがよいでしょう。スプレーは時間とともに汗や皮脂で落ちていくため、2〜3時間ごとの塗り直しを目安にすると安心です。外出前に分け目や髪全体になじませ、その上から帽子をかぶると、面と点の両方から守れます。「塗り直し不要」とうたう表現は、紫外線対策では過信しないことが大切です。

紫外線で傷んだ髪は元に戻りますか?

髪は肌のように生まれ変わって修復されるわけではないため、傷んだ部分を元どおりにするのは難しいとされています。紫外線でタンパク質の結合や色素が傷むと、パサつきや色あせとして残りやすくなります。だからこそ、髪については治すよりも予防が基本です。帽子で覆う、こまめに保湿ケアをする、といった日々の積み重ねが結局いちばん効いてきます。

参考文献

  • Downs NJ, Parisi AV. "Measurements of the anatomical distribution of erythemal ultraviolet: a study comparing exposure distribution to the site incidence of solar keratoses, basal cell carcinoma and squamous cell carcinoma." Photochem Photobiol Sci. 2009;8(8):1160-8. PMID: 19639123 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19639123/
  • Nogueira AC, Joekes I. "Hair color changes and protein damage caused by ultraviolet radiation." J Photochem Photobiol B. 2004;74(2-3):109-17. PMID: 15157906 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15157906/
  • Gherardini J, Wegner J, Chéret J, et al. "Transepidermal UV radiation of scalp skin ex vivo induces hair follicle damage that is alleviated by the topical treatment with caffeine." Int J Cosmet Sci. 2019;41(2):164-182. PMID: 30746733 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30746733/

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。

SUPERVISED BY ORIA Journal 編集部

本記事は公開されている学術情報をもとに編集部が作成し、専門知見をもとに内容を確認しています。診断・治療に代わるものではありません。

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