この記事のポイント
- SPFやPAは、肌1cm²あたり2mgという決まった量を均一に塗って測る試験値です。乳液やBBクリームで薄めると単位面積あたりのUV防御成分が減り、膜も不均一になって、表示どおりの防御が得られにくくなります。
- SPFは塗る量に対しておおよそ指数関数的に変わるとされ、量が半分になると単純に半分ではなく、それ以上に下がることがあります。混ぜて薄めた分を割り算した数字より大きく落ちうる点が見落とされがちです。
- 混ぜるのではなく、スキンケアで肌を整えてから日焼け止め→化粧下地→ファンデーションの順に『重ねる(レイヤリング)』のが基本。2〜3時間を目安に塗り直すと安心です。
「日焼け止めと乳液を手のひらで混ぜてから塗れば、保湿もUVケアも一度で済んで時短になる」——そんなふうに考えていませんか。実は、日焼け止めを他のアイテムと混ぜて薄めると、表示どおりのUV防御が得られにくくなることが研究から示されています。この記事では、なぜ混ぜると効果が落ちるのかを塗布量とSPFの関係から数値で整理し、混ぜずに効果を活かすための正しい重ね方の手順まで、できるだけ具体的にお伝えします。
日焼け止めは乳液やBBクリームと混ぜても大丈夫?
結論から言うと、日焼け止めを乳液やBBクリームと混ぜて塗るのは、あまりおすすめできません。時短になりそうに見えますが、混ぜることで日焼け止めが薄まり、肌にできる膜も不均一になりやすいためです。
SPFやPAといった数値は、その日焼け止めを規定の量で均一に塗ったときにどれくらいの防御になるかを試験で測ったものです。ですから、そこに別のアイテムを混ぜて量や塗り方の条件が変わると、表示された数値の前提そのものが崩れてしまうわけです。まずは「混ぜる」と何が起きるのか、その仕組みを順番に見ていきましょう。
なぜ混ぜるとSPFが下がるの?表示値は「規定量・均一」で測った試験値
混ぜるとSPFが下がりやすいのは、単位面積あたりのUV防御成分の量が減るからです。SPFやPAは、肌1cm²あたり2mgという決まった量を均一に塗って測定します。顔全体でいうと、およそ0.8g(パール2個分、または500円玉大くらい)が目安の量です。
この「2mg/cm²」という基準がポイントです。研究では、多くの人が実際に塗っている量は基準の4分の1ほど(約0.5mg/cm²)にとどまるとも報告されています。つまり、ふだんの塗り方でもすでに量が足りていないことが多いのです。そこへさらに乳液やBBクリームを混ぜると、同じ量を塗っても、そのなかに含まれる日焼け止め成分はいっそう少なくなり、単位面積あたりのUV防御成分がますます薄まってしまいます。
もうひとつ見落とされやすいのが、膜の均一さです。日焼け止めは、肌の上でむらなく連続した膜を作ることで紫外線を反射・吸収します。性質の違うアイテムと手のひらで混ぜると、成分が均一に混ざりきらず、厚いところと薄いところができやすくなります。薄い部分は紫外線が通り抜けやすくなるため、全体としての守りが弱くなるのです。
SPFは平均や足し算では決まらない?——量に対して指数関数的に変わる
ここがいちばん見落とされやすいところです。SPFは、塗る量に対しておおよそ指数関数的(かけ算的)に変わるとされ、量が半分になったからといって単純に半分になるわけではありません。
ある研究では、基準の2mg/cm²で表示どおりのSPFになるとき、量が1mg/cm²(半分)になるとSPFはおおよそ平方根(ルート)まで、0.5mg/cm²(4分の1)になると4乗根まで落ちる、という関係が報告されています。たとえば表示SPF50の日焼け止めなら、量が半分でおおよそ7前後、4分の1でおおよそ3前後という計算になります。アジア人の肌を対象にした試験でも、塗布量とSPFはこうした指数関数的な関係を示すと報告されています。
この視点を「混ぜ使い」に当てはめてみましょう。SPF50の日焼け止めを乳液と1対1で混ぜて、いつもと同じ量を塗ったとします。すると肌の上の日焼け止め成分はおよそ半分になり、単純計算の「25」ではなく、それよりずっと低い値まで下がりうるということです。SPFは平均や単純な足し算・割り算では決まらない——これが、名前や一般的なイメージだけでは気づきにくいポイントです。数字の見た目以上に、薄めることの代償は大きいと考えておくとよいでしょう。
下の表は、表示SPF50の日焼け止めを例に、塗る量とおおよそのSPFの目安を整理したものです。あくまで一つの研究モデルにもとづく目安であり、実際の製品や肌で必ずこうなるという保証ではありませんが、傾向をつかむ手がかりになります。
| 塗り方の状態 | 単位面積あたりの日焼け止め量 | おおよそのSPFの目安(表示50の場合) |
|---|---|---|
| 規定量をそのまま塗る | 2mg/cm²(試験の基準) | 表示どおり(約50) |
| やや薄め・塗り足りない | 1mg/cm²(基準の半分) | 平方根くらい(約7) |
| 混ぜて希釈・かなり薄い | 0.5mg/cm²(基準の4分の1) | 4乗根くらい(約3) |
こうして並べると、「薄める」ことがSPFに与える影響の大きさが見えてきます。混ぜて量を減らすより、混ぜずにしっかりの量を塗るほうが、結果的に表示値に近い守りを得やすいのです。
日焼け止め・下地・ファンデはどの順番で塗る?
混ぜないなら、正しい順番で重ねる(レイヤリング)のが答えです。基本は、スキンケアで肌を整えてから、日焼け止め → 化粧下地 → ファンデーションの順に、それぞれを薄い層として重ねていきます。手順にすると次のとおりです。
- 化粧水・乳液で肌を整える。 先にうるおいを補い、肌のコンディションを整えておきます。
- 乳液がなじんで肌が少し落ち着いてから、日焼け止めを規定量塗る。 顔全体で0.8g(パール2個分/500円玉大)が目安です。一度に広げず、額・両頬・鼻・あごに置いてからやさしく均一にのばします。
- 数分おいて日焼け止めが肌になじんだら、化粧下地を重ねる。 こすらず、上からそっと重ねるようにします。
- BBクリームやファンデーションを重ねる。 薄く均一に仕上げると、下の日焼け止めの膜をよれさせにくくなります。
- 日中は2〜3時間を目安に塗り直す。 汗や皮脂、こすれで膜は少しずつ乱れます。メイクの上からはパウダータイプやスプレータイプで補うと続けやすいです。
ポイントは、それぞれの層を薄く重ねることと、次を塗る前に少し時間をおくことです。混ぜてしまうと一つひとつの役割が薄まりますが、重ねれば日焼け止めは日焼け止めとして、下地は下地として、それぞれの膜を活かせます。
時短したいときは「混ぜる」より「兼ねる」
忙しい朝にできるだけ工程を減らしたい、という気持ちはよく分かります。その場合は混ぜるのではなく、一つで役割を兼ねるアイテムを選ぶのが現実的です。たとえばSPF・PA表示のある化粧下地やBBクリームを使えば、UVケアとベースメイクを一つの工程にまとめられます。
ただし注意したいのは、下地やBBクリームだけで日焼け止めの規定量を塗るのは、現実には難しいことが多い点です。ベースメイクは薄くのばして使うため、日焼け止めとして必要な量には届きにくいのです。日焼け止めを土台にしっかり塗ったうえで、UV機能つきの下地やファンデを重ねると、時短と守りのバランスを取りやすくなります。
さらに、日傘・帽子・サングラス、日陰を選ぶといった塗る以外の工夫を組み合わせると、肌にかかる紫外線そのものを減らせます。日焼け止めは万能ではありませんし、これだけで日やけを完全に防げるわけではありません。塗り直しや物理的な工夫とあわせて、無理なく続けられる形を見つけるのが、いちばんの近道です。
研究・参考情報
- SPFは肌1cm²あたり2mgを均一に塗って測る試験値で、実際には基準の4分の1ほどしか塗られていないことが多いと報告されています。
- 塗布量とSPFの関係は指数関数的とされ、量が半分でSPFは平方根、4分の1で4乗根まで下がるという関係が示されています。アジア人の肌の試験でも同様の傾向が報告されています。
- 以上から、乳液やBBクリームで薄めて混ぜると単位面積あたりの成分が減り、膜も不均一になって、表示どおりの防御が得られにくいと考えられます。混ぜずに規定量を重ねる使い方が現実的です。
まとめ
- SPF・PAは1cm²あたり2mgを均一に塗って測る試験値。乳液やBBクリームで薄めると単位面積あたりのUV防御成分が減り、膜も不均一になって表示どおりの防御を得にくくなります。
- SPFは量に対しておおよそ指数関数的に変わるため、混ぜて半分に薄めても「半分のSPF」ではなく、それ以上に下がりうる点に注意が必要です。
- 正しくは混ぜず重ねる(レイヤリング)。日焼け止め → 化粧下地 → ファンデーションの順に、薄く均一に重ねます。
- 顔全体で約0.8g(パール2個分/500円玉大)を目安に塗り、2〜3時間ごとに塗り直すと安心です。
- 時短したいときは混ぜるよりUV機能を兼ねる下地やBBを活用し、日傘・帽子などの工夫も組み合わせましょう。
監修・確認
ORIA Journal 編集部 編集部
ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。
よくある質問
日焼け止めを乳液と混ぜて塗ってはいけないのですか?
禁止されているわけではありませんが、おすすめはしません。混ぜると日焼け止めが薄まり、肌の上の膜も不均一になりやすいため、表示どおりのUV防御が得られにくくなります。乳液で肌を整えてから、日焼け止めを規定量、別に重ねて塗るのがおすすめです。
SPF50を乳液で半分に薄めたら、SPFは25になりますか?
単純に半分の25になるとは限りません。SPFは塗る量に対しておおよそ指数関数的に変わるとされ、量が半分になるとSPFはおおよそ平方根くらいまで下がるという研究があります。表示50なら7前後という計算になり、割り算した数字よりずっと低くなりうる点に注意が必要です。
日焼け止めと化粧下地、ファンデはどの順番で塗ればいいですか?
スキンケアで肌を整えたあと、日焼け止め→化粧下地→ファンデーションの順に、それぞれ薄く重ねるのが基本です。次を塗る前に少し時間をおいて、前の層を肌になじませると、膜がよれにくく均一に仕上がります。
SPF表示のあるBBクリームだけで日焼け対策は足りますか?
ベースメイクは薄くのばして使うため、日焼け止めとして必要な量には届きにくいことが多いとされます。日焼け止めを土台にしっかり塗ったうえで、UV機能つきの下地やBBを重ねると、守りと時短のバランスを取りやすくなります。
塗り直しはどのくらいの頻度が目安ですか?
汗や皮脂、こすれで膜は少しずつ乱れるため、2〜3時間を目安に塗り直すのがおすすめです。メイクの上からは、パウダータイプやスプレータイプの日焼け止めを使うと重ねやすく、続けやすくなります。
参考文献
- Faurschou A, Wulf HC. "The relation between sun protection factor and amount of suncreen applied in vivo." Br J Dermatol. 2007;156(4):716-719. PMID: 17493070 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17493070/
- Kim SM, Oh BH, Lee YW, Choe YB, Ahn KJ. "The relation between the amount of sunscreen applied and the sun protection factor in Asian skin." J Am Acad Dermatol. 2010;62(2):218-222. PMID: 19962787 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19962787/
- Petersen B, Wulf HC. "Application of sunscreen − theory and reality." Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2014;30(2-3):96-101. PMID: 24313722 — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24313722/
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。