曇りの日の紫外線量と対策|「曇りだから大丈夫」の落とし穴

曇りの日はどれくらい紫外線が届くの?本曇りでも約3割、薄曇りなら約9割が透過するとされ、UVAは雲を通り抜けやすい波長です。薄曇りで一時的に晴天超えが起こる理由と、今日からできるUVケアを数値で整理します。

曇りの日の紫外線量と対策|「曇りだから大丈夫」の落とし穴

この記事のポイント

  • 曇りでも紫外線は届き、本曇りで約3割・薄曇りで約9割が透過するとされます。
  • 波長の長いUVAは雲の影響を受けにくく、天気に関わらず対策の継続が大切です。
  • 薄曇りや雲の切れ間では散乱・反射で一時的に晴天を超えることがあると報告されています。

「今日は曇りだから、日やけ止めは省いても平気」——そう考えて、朝のケアを軽くしてしまう日はありませんか。ところが雲は紫外線をそれほど遮らず、雲の種類や量によっては地上にかなりの量が届きます。この記事では、曇りの日にどれくらいの紫外線が届くのかを数値で確認し、なぜ「曇り=安心」が落とし穴になるのか、そして今日からできる現実的な対策までを整理します。

曇りの日、紫外線はどれくらい届くの?

結論から言うと、曇りでも紫外線の相当割合が地上に届きます。海外の気象・環境機関がまとめた目安では、雲の量や厚みによって透過率が大きく変わり、青空に薄く散らばった雲では約9割、切れ間のある雲では約7割、空一面の本曇りでも約3割の紫外線が通るとされています。

空の状態雲のイメージ紫外線の透過の目安
快晴雲がほぼないほぼ100%
薄曇り(散在)青空に薄い雲約89%
曇り(切れ間あり)ところどころ雲約73%
本曇り空一面が雲約32%

つまり「曇り=紫外線ゼロ」ではなく、多くの日は半分以上が届いていると考えるのが現実的です。ここでの数字はあくまで一般的な目安で、雲の厚み・高さ・季節・時間帯によって上下します。それでも「曇りなら浴びていない」という感覚とは、ずいぶん開きがあることが分かります。

なぜ雲があってもこれだけ通るのでしょうか。理由は、紫外線が雲の水滴によって“遮られる”よりも“散らされる”割合が大きいためです。雲にぶつかった紫外線は、一部が上空へ跳ね返される一方で、多くはあらゆる方向へ散乱しながら地上に降り注ぎます。そのため、真上から差す直射日光がなくても、空全体がぼんやり明るいだけで四方八方から散乱した紫外線が肌に届くわけです。曇り空でも影がうっすらできるのは、この散乱光が回り込んでいる証拠でもあります。


なぜUVAは雲を通り抜けやすいの?

ポイントは、紫外線の中でも波長の長いUVAが雲の影響を受けにくいとされることです。地上に届く紫外線は、波長の短いUVBと、より波長の長いUVAに大きく分けられます。UVBは大気やオゾン、雲によって散乱・吸収されやすい一方で、UVAは雲を通り抜けて地上まで届きやすいと報告されています。研究では、厚い本曇りのときでもUVAはかなりの割合が透過すると示されています。

UVAとUVBは、性質も雲との相性も異なります。ざっくり整理すると次のようになります。

種類波長の長さ雲の影響押さえどころ
UVB短い受けやすい日やけの赤み・ヒリつきに関わるとされる
UVA長い受けにくい曇天でも届きやすく、量も多い

UVAは地上に届く紫外線の大部分を占めるとされ、肌の表面だけでなく比較的深いところまで届きやすい波長と考えられています。日常のうっかり浴びが積み重なりやすいのもUVAの特徴です。だからこそ、天気に関わらずUVAへの対策(PA表示)を続けることが、曇りの日ほど意味を持ちます。「今日は曇りだからUVAも来ない」とは言い切れない、というのがまず押さえたい点です。


「薄曇りの方が晴れより強い」ことがあるって本当?

一時的には、本当に起こり得ます。これは雲による増強効果(ブロークンクラウド)などと呼ばれる現象で、太陽のまわりに白い積雲が点在するようなとき、雲の側面が光を散乱・反射して地上の紫外線を一時的に押し上げることがあると報告されています。

スペイン・グラナダでの観測研究では、切れ間のある雲のもとで、わずか30分ほどのあいだにUVインデックスが2.6から10.4へと約4倍に跳ね上がり、快晴時の値を上回った例が記録されています。多くの研究では、この上乗せは数%からおおむね最大40〜50%程度の範囲とされ、条件がそろうと晴天のピークを一時的に超えることがある、というのがデータから見えてくる意外な一面です。もちろん常に強まるわけではなく、平均すれば雲は紫外線を弱める向きに働きますが、「薄曇りなら弱いはず」という思い込みは当てにならない、と考えておくのが安全です。


曇りの日にやりがちな“油断”はどこ?

見落としがちなのは、「暑さの感覚」と「紫外線の量」がずれる点です。雲は、暖かさをもたらす赤外線を紫外線よりも強く遮る傾向があるため、肌がジリジリしないのに紫外線は届いているという状況が生まれやすくなります。暑くない=安全と感じてしまい、気づかないうちに浴びてしまうのが曇りの日の落とし穴です。

さらに、通勤・洗濯物干し・買い物といった“ちょっとした外出”は、日やけ止めを省きがちな場面でもあります。届く紫外線が半分以上ある日も多いことを思えば、曇りの日こそ習慣的なUVケアが効いてきます。特別なことではなく、いつものケアを天気で減らさない、それだけで積み重ねの差が変わってきます。


上や横からも紫外線は届く?

上空だけでなく、足元や周囲からの照り返し(反射)も見落とせません。地面や建物、コンクリートやアスファルトは紫外線を反射し、日傘や帽子でさえぎった分の一部が、下や横から回り込んで肌に届くことがあります。曇りの日は空全体からの散乱光が主役になるため、日傘の“影の中”でも安心しきれないという点は覚えておきたいところです。

もう一つ大切なのが、紫外線は一度に浴びる量だけでなく、少しずつの積み重ねでも蓄積していくと考えられていることです。曇りの日の数十分の外出も、毎日続けば決して小さくありません。だからこそ、強い日ざしの日だけ気合いを入れるより、曇りの日も含めて“薄く長く”続けるケアのほうが、素肌との付き合い方としては理にかなっています。ふだんの紫外線量を知りたいときは、気象情報で発表されるUVインデックスの予報も手がかりになります。


曇りの日はどうケアすればいい?

基本は晴れの日と同じで、「曇りだから減らす」を一度やめてみることがおすすめです。以下を目安にすると、無理なく続けられます。

  1. 朝のうちに顔・首・手の甲へ日やけ止めを塗る。うっかり浴びは朝の出かけぎわから始まるため、天気を見てからではなく、洗顔後のスキンケアの流れで習慣にしてしまうと省きにくくなります。
  2. SPFとPAは試験に基づく表示として理解し、最強・最高といったイメージではなく、生活に合う数値を選びます。近所への短い外出と長時間のレジャーでは、無理に同じ数値にこだわる必要はありません。
  3. 塗る量はムラなく、少なすぎないようにします。薄づきだと表示どおりの効果が出にくいとされるため、顔ならためらわずに広げ、塗り忘れやすい生え際・耳・首の後ろまで行き渡らせます。
  4. 2〜3時間を目安に塗り直す。汗やこすれで少しずつ落ちるため、曇りでも塗り直しは省かないのがおすすめです。メイクの上からはスプレーやパウダータイプを重ねる方法もあります。
  5. 日傘・帽子・衣類を組み合わせ、日やけ止めだけに頼りすぎないようにします。散乱光や照り返しは布でさえぎった内側にも回り込むため、複数の手段を重ねるほど取りこぼしが減ります。

「塗り直し不要」「一日中これだけで安心」といった考え方はせず、こまめな重ねづけと物理的なカバーの合わせ技でいくのが現実的です。曇りの日に完璧を目指す必要はありませんが、続けられる形で紫外線と付き合うことが、素肌をいたわる近道になります。肌に合わないと感じるときや気になる症状が続くときは、自己判断で抱え込まず皮膚科に相談するのも一つの選択です。


研究・参考情報

  • 海外の気象・環境機関の目安では、雲の状態により紫外線の透過率が大きく変わり、薄い散在雲で約89%、切れ間のある雲で約73%、本曇りで約32%とされています。
  • UVAはUVBに比べて雲の影響を受けにくく、曇天でも地上に届きやすいと報告されています。
  • 切れ間のある雲(ブロークンクラウド)では、雲の側面での散乱・反射によって紫外線が一時的に増える「雲による増強効果」が観測されており、快晴時のピークを短時間だけ上回る例も報告されています。

まとめ

  • 曇りでも紫外線は届く。本曇りでも約3割、薄曇りなら約9割が通るとされます。
  • UVAは雲を通り抜けやすい波長で、天気に関わらず対策の継続が大切です。
  • 薄曇り・雲の切れ間では一時的に晴天を超えることがあります(雲による増強効果)。
  • 暖かさの感覚と紫外線量はずれるため、暑くない日ほど油断しやすくなります。
  • 対策は朝に塗る・量を守る・2〜3時間で塗り直す・日傘や帽子も併用が基本です。

監修・確認

ORIA Journal 編集部 編集部

ORIA Journalは、紫外線とスキンケアに関する誠実で分かりやすい情報を届ける編集部です。記事は編集部が作成し、薬機法・景品表示法の観点から表現上のリスクを確認したうえで公開しています。

よくある質問

曇りの日でも日やけ止めは必要ですか?

はい、必要と考えるのが現実的です。雲の状態にもよりますが、本曇りでも約3割、薄曇りなら約9割の紫外線が地上に届くとされ、とくにUVAは雲を通り抜けやすい波長です。曇りだからと省かず、いつものケアを続けることをおすすめします。

曇りの日に日やけすることはありますか?

あり得ます。雲は暖かさを感じさせる赤外線を紫外線より強く遮る傾向があるため、暑さを感じにくいのに紫外線は届いている、という状況が生まれやすいためです。暑くない日ほど油断しやすいので注意が必要です。

薄曇りの方が晴れより紫外線が強いことは本当にありますか?

一時的には起こり得ます。太陽のまわりに白い雲が点在するようなとき、雲の側面での散乱・反射で紫外線が一時的に増える「雲による増強効果」が観測されており、短時間だけ快晴時の値を上回った例も研究で報告されています。

曇りの日でも塗り直しは必要ですか?

はい、曇りでも塗り直しは省かないことをおすすめします。日やけ止めは汗やこすれで少しずつ落ちるため、2〜3時間を目安に塗り直すと安心です。塗り直し不要とは考えず、こまめな重ねづけを心がけましょう。

曇りの日はSPFの数値を下げても良いですか?

天気で機械的に下げるより、外出のシーンや時間で選ぶ方が現実的です。SPFやPAは試験に基づく表示なので、最強・最高といったイメージではなく生活に合う数値を選び、量をしっかり塗ることや物理的なカバーとの併用を意識すると良いでしょう。

参考文献

  • Calbó J, Pagès D, González JA. "Empirical studies of cloud effects on UV radiation: A review." Reviews of Geophysics. 2005;43(2):RG2002. doi:10.1029/2004RG000155 — https://doi.org/10.1029/2004RG000155
  • Antón M, Cazorla A, Mateos D, et al. "Extreme ultraviolet index due to broken clouds at a midlatitude site, Granada (southeastern Spain)." Atmospheric Research. 2012;118:10-14. — https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0169809512001822
  • World Health Organization. "Global Solar UV Index: A Practical Guide." WHO; 2002. — https://www.who.int/publications/i/item/9241590076

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。

SUPERVISED BY ORIA Journal 編集部

本記事は公開されている学術情報をもとに編集部が作成し、専門知見をもとに内容を確認しています。診断・治療に代わるものではありません。

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