
この記事のポイント
- SPFはUVBへの防御力を「時間倍率」で、PAはUVAへの防御力を「+の数」で示す、それぞれ別の指標です。
- UVBは肌の表面を赤くし、UVAは曇りや窓越しでも届いて肌の奥(真皮)に届くとされ、どちらへの対策も欠かせません。
- 数値が高いほど防御力は上がる一方、肌への負担も増す可能性があるため、シーンに合わせた使い分けが大切です。
日焼け止めのパッケージに並ぶ「SPF50+」「PA++++」。何となく「高い方がいい」と選んでいませんか。実は、SPFとPAはそれぞれ異なる種類の紫外線への防御力を示す指標です。違いを理解すると、自分の生活シーンにぴったりの日焼け止めをより賢く選べるようになります。
SPFとPAはそれぞれ何を守る指標か
紫外線には主に2種類ある
SPFはUVBへの防御力を、PAはUVAへの防御力を、それぞれ別の指標で示します。地表に届く紫外線は、大きくUVBとUVAの2種類に分けられます。
| 種類 | 波長 | 肌への到達部位 | 主な影響 |
|---|---|---|---|
| UVB | 280〜315 nm(短い) | 表皮(肌の表面層) | 赤み・日焼けによる炎症・日やけによるシミ・ソバカスを防ぐことが重要 |
| UVA | 315〜400 nm(長い) | 表皮〜真皮(肌の奥) | 即時型の黒化、長期的なシワ・たるみへの関与とされる |
UVB(波長280〜315 nm) は波長が短く、晴れた屋外で浴びやすい紫外線です。エネルギーが高く、浴びた直後から肌が赤くなる「サンバーン(日焼け炎症)」を引き起こします。一方でガラスや雲に遮られやすいため、室内では比較的届きにくい傾向があります。
UVA(波長315〜400 nm) は波長が長く、エネルギーは穏やかですが、雲を通過し、窓ガラスも透過しやすい性質を持ちます。UVBと比べて即座に赤くなりにくいため「気づきにくい紫外線」とも言えます。しかし長年にわたって浴び続けると、肌の奥(真皮)まで届くとされ、シワやたるみに関与すると考えられています。在宅ワークや車の運転中も対策が必要な理由はここにあります。
SPFとは|UVBへの防御力を示す数値
SPFの定義と計算のしくみ
SPF(Sun Protection Factor) は、日焼け止めを塗った肌と塗っていない肌で、UVBによる赤みが出るまでの時間がどれだけ延びるかを示す倍率です。
SPF30 = 何も塗らない場合に比べて、UVBによる赤みが出るまでの時間が約30倍になる
たとえば、何も塗らずに10分で赤くなる肌なら、SPF30を適切な量で塗ることで300分(約5時間)相当の防御が期待できる計算になります。ただしこれはあくまで試験上の目安値であり、実際には汗・摩擦・時間経過によって防御力は低下します。2〜3時間ごとの塗り直しを習慣にしましょう。
SPFの数値が示す「カット率」の実態
| SPF値 | UVBカット率(目安) |
|---|---|
| SPF15 | 約93% |
| SPF30 | 約97% |
| SPF50 | 約98% |
| SPF50+ | 約98%超(試験上限超え) |
数値から分かるとおり、SPF30とSPF50の差は約1%ほどです。数字のインパクトほど大きな差ではないことを理解しておくと、選択の基準が変わります。日常使いならSPF30程度、長時間の屋外活動や真夏の海・山ではSPF50以上、という使い分けが一般的です。
PAとは|UVAへの防御力を示す記号
PAの定義と「+」の意味
PA(Protection Grade of UVA) は、日本で広く使われているUVA防御指標です。国際的な指標「PFA(Protection Factor of UVA)」の測定値をもとに、以下の4段階に分類されます。
| PA表示 | PFA値 | 防御効果の目安 |
|---|---|---|
| PA+ | PFA 2〜3 | UVAを防御する |
| PA++ | PFA 4〜7 | UVAをかなり防御する |
| PA+++ | PFA 8〜15 | UVAを非常に強く防御する |
| PA++++ | PFA 16以上 | UVAをきわめて強く防御する |
「+」の数が多いほど防御力が高い、と覚えておけば十分です。2013年以降、PA++++(4つ)が最高段階として追加されました。
なぜPAも大切なのか
PAが大切な理由は、UVAが曇りの日でも窓ガラス越しでも届き、日々じわじわと蓄積していく紫外線だからです。曇りの日でも晴れの日と同程度にUVAが届くとされており、窓ガラス越しにも入射します。日常の通勤・在宅・ドライブといった「ちょっとした外出や室内の窓際」でも、毎日の蓄積が気になる場合には、PA++以上の製品を選ぶことが推奨されます。
SPFとPAを両方確認すべき理由
SPFだけが高くてもUVAは防げず、PAだけ高くてもUVBには不十分です。SPFとPAは車の両輪のような関係で、どちらかが欠けると紫外線対策として片手落ちになります。また、多くの日本市販品は両方の値を記載していますが、海外製品の中にはPAではなく「UVA星マーク(EU基準)」や「Broad Spectrum(米国基準)」で表記されているものも。輸入品を使う際はこれらの表示を参考にしましょう。
シーン別・SPF/PAの選び方の目安
| シーン | SPFの目安 | PAの目安 |
|---|---|---|
| 室内・短時間の外出 | SPF15〜30 | PA++〜+++ |
| 通勤・散歩(30分〜1時間程度) | SPF30〜50 | PA+++〜++++ |
| 長時間の屋外活動・海・山・スポーツ | SPF50〜50+ | PA++++ |
| 真夏のレジャー・水中活動 | SPF50+ / ウォータープルーフ推奨 | PA++++ |
数値が高い製品ほど紫外線散乱剤・吸収剤の配合量が増えることが多く、肌への刺激感を感じやすい方もいます。「必要な場面に適切な強さを」という考え方が、肌にも日常にも合った選択につながります。
塗り直しが防御の要
どれほど高いSPF・PA値でも、塗り直しなしでは効果は持続しません。一般的には2〜3時間ごと、汗をかいた後や拭いた後は早めに塗り直すことが推奨されています。日常のメイクの上からでも使いやすいスプレータイプや、UVカットパウダーを組み合わせる方法も実用的です。
監修について
本記事は、薬機法・景表法の観点から専門家による監修を受けています。掲載内容は公開時点での情報に基づいており、最新の研究や規制により変更される場合があります。
研究・参考情報
UVBの赤み誘発と最小紅斑量(MED) SPF値の算出に使われる「MED(Minimum Erythema Dose:最小紅斑量)」は、皮膚に赤みが生じる最小の紫外線量を指します。SPFはこのMEDを何倍引き延ばせるかを測定した数値です。測定は国際的にはISO 24444:2010(改訂版ISO 24444:2019)で規定されたプロトコルに基づきます。
UVAの即時型・遅延型黒化と深達性 UVAは肌に届いてからの反応として、照射後すぐに起きる「即時型黒化(IPD)」と数時間後に現れる「遅延型黒化(PPD)」の2種類があります。PAのもととなるPFA値はこのPPD反応をもとに算出されます。UVAは波長が長いことから真皮にも到達するとされており、コラーゲン線維への長期的な影響が研究されています。
SPF50+の「+」について 日本では2011年に表示基準が改定され、PFA値が測定上限を超えた場合にSPF50+と表記できるようになりました。これはそれ以上の正確な数値測定が困難なため上限として定められたものであり、SPF50+が「無限に防げる」ことを意味するわけではありません。
日常のUVA暴露 UVAは全紫外線量の約90〜95%を占めるとされており、曇りや薄曇りの日でも相当量が地表に届きます。また通常の窓ガラス(フロートガラス)はUVBの多くを遮断しますが、UVAはほとんど通過させるとされています。日常の室内でも窓際にいる時間が長い場合には、UVAへの意識が勧められます。
まとめ
- SPF はUVB(波長280〜315 nm)への防御力を示す「倍率」。数値が高いほど赤みが出るまでの時間が延びる。
- PA はUVA(波長315〜400 nm)への防御力を示す「+の段階」。+の数が多いほど防御力が高い。
- UVBは表皮への即時ダメージ、UVAは曇りや室内でも届き、長期的な肌の変化に関わるとされる。どちらの対策も必要。
- 数値は高いほど安心できるが、肌負担とのバランスを考えてシーンに合った製品を選ぶことが大切。
- どんなに高いSPF/PAでも、2〜3時間ごとの塗り直しが防御力を保つうえで最も重要な習慣。
よくある質問
SPFの数値が高いほど効果は大幅に上がりますか?
SPF30とSPF50の差はUVBカット率にして約1%程度です。数字の差ほど大きな防御力の差はなく、日常使いならSPF30でも十分なシーンが多くあります。それよりも塗り直しを丁寧に行うことの方が、防御効果の維持に直結します。
曇りの日や室内でも日焼け止めは必要ですか?
UVAは雲や窓ガラスを透過しやすい性質があります。曇りの日でも相当量のUVAが届くとされているため、窓際での長時間作業や曇り空の外出でも、PA++以上の日焼け止めを使用することが推奨されます。
PAとSPFはどちらを重視して選べばよいですか?
どちらか一方ではなく、両方を確認することが大切です。SPFはUVB、PAはUVAへの防御力を示しており、異なる種類の紫外線に対応しています。用途に合わせてSPF・PAを両方チェックして選びましょう。
日焼け止めはどのくらいの量を塗ればいいですか?
SPF/PA値はメーカーが定めた一定量(一般的に顔なら0.5〜1円玉大程度)を均一に塗った条件で測定されています。薄塗りでは記載値よりも防御力が低くなる可能性があるため、適量をムラなく塗ることが重要です。
日焼け止めの塗り直しはどのくらいの頻度が必要ですか?
一般的には2〜3時間ごと、または汗をかいたり拭いたりした後に塗り直すことが推奨されています。どんなに高いSPF・PA値でも、時間経過や摩擦で効果は低下するため、塗り直しが防御力を保つ最重要習慣です。
参考文献
- ISO 24444:2019 Cosmetics — Sun protection test methods — In vivo determination of the sun protection factor (SPF)
- ISO 24442:2011 Cosmetics — Sun protection test methods — In vivo determination of sunscreen UVA protection
- 日本化粧品工業連合会「紫外線防止効果測定法基準の改定とそれに伴う『PA++++』表示の追加」(2012年11月14日発表) https://www.jcia.org/user/common/download/approach/news_release/JCIA_release20121114-UV-PF.pdf
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:日焼け」 https://qa.dermatol.or.jp/qa2/index.html
- Skin Cancer Foundation「UVA & UVB」https://www.skincancer.org/risk-factors/uv-radiation/
- World Health Organization (WHO)「Ultraviolet radiation and health」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ultraviolet-radiation
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。肌の状態やトラブルにお悩みの場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。